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Billy Joel「My Life」「Honesty」(アルバム:52nd Street)

「ワルな男歌う これが俺の人生だ そして誠実さとは」

今回はビリー・ジョエル「マイ・ライフ」「オネスティ」(Album『ニューヨーク52番街』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:Billy Joel
■アーティスト名カナ:ビリー・ジョエル
■曲名:My Life、Honesty
■曲名邦題:マイ・ライフ、オネスティ
■アルバム名:52nd Street
■アルバム名邦題:ニューヨーク52番街
■動画リンク:「My Life」「Honesty」

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ビリー・ジョエル「マイ・ライフ」「オネスティ」(アルバム:ニューヨーク52番街)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

この人はとても広く知られています。

おそらくある一定の年齢以上の人にとっては、聞いていて当たり前な人かもしれません。

しかし近年、音楽そのものが聞かれなくなってきています。

私はこのぐらい有名な人であっても、聞かれなくなってきているように思います。

だって今の10代20代が、この人の話をしていることを想像できるでしょうか。

CDを買う為に昼食を抜き、思いつめた目をして、空腹をしのぐため水ばかり飲んでいたような人は、当時私の周囲だけでも何人もいました。

そういう私と同類は、もはや国からの保護が必要な絶滅危惧種になっています。

そんな私も年をとっても、相も変わらず音楽ばかり聞いていますが、いささか新鮮な驚きに出会うことが、少なくなってきたようにも思います。

しかし一周回って、とうの昔に聞いたはずのロック・クラシックの豊かな響きに、耳を傾ける機会がここ数年増えてきました。

以前は新しく買ったCDを聞くことに追われていましたから、一度聞いたものを聞き返す時間は、なかなか取ることができませんでした。

そんな中、このアルバムを久しぶりに聞きなおして、私はめまいがする思いでした。

これほどのレベルであったかと。

新作でこのレベルの作品に出会ったら、まず音楽仲間に、事件だとメールするでしょうね。

今回取り上げた2曲は有名ですし、私も大好きなので取り上げたのですが、脇役みたいな曲ですらどれもすばらしいです。

ちなみに2曲だけに絞り込むのは残念すぎるので、脇役曲も2曲リンクを貼っておきましょう。

Billy Joel「Zanzibar」

Billy Joel「Half a Miles Away」

こんなレベルの曲が、脇役になるアルバムなんて、ほとんどありえないと思います。

スラムダンクでいえば、山王工業に松本という「沢北がいなければ、どこでもエースを張れる男」と呼ばれている人がいましたが、上記2曲はどこか他のシンガーソングライターのアルバムに入っていたら、エース級になりそうな曲です。

この曲のデータと歌詞の内容について

では今回取り上げた2曲について、いくつか述べていきたいと思います。

まず簡単にデータについて触れておきましょう。

このアルバムは1978年に発売された、6作目のアルバムです。

前作の「ストレンジャー(The Stranger)」が大ヒットしたのを受けて、翌年発表されています。

プロデュースはフィービー・スノウ(Phoebe Snow)のアルバムなどでも良い仕事をしていたフィル・ラモーン(Phil Ramone)。

シティ・サウンドといえばこの人です。

ヒットした前作の翌年にこんな質の高いアルバムを発表するとは、この時期のビリー・ジョエルはほぼ無敵状態でした。

このアルバムは全米チャート1位を獲得し、グラミー賞最優秀アルバム賞、男性ポップ・ボーカル部門の2部門を受賞しています。

取り上げた2曲はどちらもシングルカットされていて、「マイ・ライフ」は3位、「オネスティ」は24位を獲得しています。

ちなみにアルバムの収録順は「オネスティ」→「マイ・ライフ」ですが、私的にはこの順番の方が収まりがいい感じがしましたので、順序を逆にしてご紹介しました。

歌詞について触れていきましょう。

「マイ・ライフ」の歌詞は「もうそろそろ故郷に帰ってきたらどうだ」と言ってくる旧友からの電話に対して「これが俺の人生だから放っておいてくれ、お前はお前の道をいけばいい」と言い返す内容です。

日本でもありそうな状況です。

親元を離れて都会で一人暮らしをしている女性が、地元の友達から電話があって「帰ってきなよ。みんな心配しているよ」と言われるとか、今この瞬間も言われている人がいるでしょう。

ビリー・ジョエルは友達に対して「お前が自分の意見を俺に言うのはいいが、俺には関係ないと」若干キレ気味に返しているのがおもしろいです。

次の「オネスティ」は直訳すると「正直」とか「誠実さ」といった意味です。

君がやさしさや愛情を求めているならば手に入れられるけれど、誠実さを求めるのならば、暗闇の中で探すようなものだと歌っています。

つまり誠実さはなかなか手に入らないということです。

ビリー・ジョエルは身長166㎝とアメリカ人にしては小柄です。子供の頃にいじめられていて、いじめに立ち向かう為にボクシングを習った人です。その後レコード会社とのトラブルから精神を病んだ経験もあります。

彼の人生を調べていくと、苦境と幸福が交互にやってきている気がします。

しかも彼がいたのは、狐の化かし合いみたいなショービジネスの世界です。

きっと彼は色々な人の二面性を見てきたのではないでしょうか。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲に触れていきましょう。

まず「マイ・ライフ」ですが、イントロから彼自身によるキーボードがとてもすばらしく、最高の導入部となっています。

少し逆ギレっぽい歌詞とは異なって、さわやかでハートウォーミングな曲調です。

一方「Honesty」ではキーボードではなく、ピアノが使われています。

まずは弾き語り風に始まり、次第にベース→ドラム→ストリングスと加わってきます。

ストリングスは隠し味程度なので、必要なかったかもしれません。

この曲は日本人好みらしく、CMなどで使われる機会が多い曲です。

海外の「ビリー・ザ・ベスト(Billy Joel: Greatest Hits)」にはこの曲は収録されていません。

まあどちらもよく知られている曲なので、あまり解説の必要がないかもしれません。

ただもう一言付け加えておきたいのは、2曲ともベースとドラムの出来がすばらしいということです。

特に「マイ・ライフ」のベースラインは、曲のグルーヴ感を出すのに大きく貢献していますし「オネスティ」の後半の盛り上がりをつくっているドラムもすばらしいです。

後にビリー・ジョエルはこの2人を解雇しますが、ドラムのリバティ・デビット(Liberty Devitto)から著作権の支払いを巡って訴えられることになります。

またベースのダグ・ステッグマイヤー(Doug Stegmeyer)に至っては、解雇されてから数年後に自殺してしまいます。

とても後味が悪い結末です。

今回「オネスティ」という曲を取り上げるにあたって、この人の誠実な面を探す為に彼の人生を調べていたところ、自伝が発表されていたことを知りました。

「Billy Joel: The Definitive Biography」という本のようですが、内容のハイライトが、不倫をした結果、2度の自殺未遂をしたことなんだそうです。

ちなみに当時の奥さんのエリザベス・ウェーバー(Elisabeth Weber)は、元々彼のバンドのメンバーの奥さんだったのを寝取ったんだそうです。

しかもその奥さんと一緒になったのはいいけれど、結婚生活の大部分が不仲で過ごし、泥沼裁判の末に離婚しました。

そもそもこの人はデビュー前からあまり素行が良くなくて、どちらかというとワルの部類だったようです。

きっとこの人は感情の振れ幅が大きい人だと思います。

だから新しい彼女ができたら、その女性をテーマにした曲を何曲も書いて、曲名にまで彼女の名前を付けてしまうんですから。

その後曲名にした女性とも結婚しますが、その女性の不倫が発覚して離婚するという、また負のサイクルに入ります。

因果応報かもしれませんね。

すばらしい曲と彼の人生のギャップにモヤモヤしながら、自分の人生や誠実さについて考えるのが、正しい曲の鑑賞方法のように思えてきました。

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