無人島の1枚を探すブログ Stevie Wonder 「Golden Lady」「He's Misstra Know-It-All」 (アルバム:Innervisions)

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Stevie Wonder 「Golden Lady」「He's Misstra Know-It-All」 (アルバム:Innervisions)



今回はスティーヴィー・ワンダー「ゴールデン・レディ」「いつわり」(Album『インナーヴィジョンズ』)をご紹介します。

感じやすく揺れ動く内面を投影した万華鏡的音楽世界


本日のおすすめ!(Today's Selection)
■アーティスト名:Stevie Wonder
■アーティスト名カナ:スティーヴィー・ワンダー
■曲名:Golden Lady、He's Misstra Know-It-All
■曲名邦題:ゴールデン・レディ、いつわり
■アルバム名:Innervisions
■アルバム名邦題:インナーヴィジョンズ
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■音楽ジャンル:ニューソウル
■期待効果:胸が一杯になります

曲を聞いてみたい!(Click to Listen)
Stevie Wonder「Golden Lady」
Stevie Wonder「He's Misstra Know-It-All」
※Today's Desert Island Disc

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スティーヴィー・ワンダー「ゴールデン・レディ」「いつわり」Album『インナーヴィジョンズ』ディスクレビュー


アルバムや曲のデータについて


こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールはこちら

これまで多くの音楽の天才たちを取り上げてきました。誰が一番天才かなんて、どう考えても決められるはずがありません。

ポール・マッカートニー(Paul McCartney)、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)、デューク・エリントン(Duke Ellington)、マイルス・デイビス(Miles Davis)、プリンス(Prince)などの名前がすぐに挙がりますが、この人は間違いなく筆頭に近い位置にいます。

この人は一時期、時代を一色に染め上げてしまいました。

私が思うに1970年代の欧米ロックやポップス、ソウルミュージックは群雄割拠の時代でした。表現できる音楽の可能性が広がり、天才たちが数多く登場した黄金時代です。

この人は1970年代のミュージシャンズ・ミュージシャンと言える人でした。

ジャンル関係なく、多くのアーティストが発売日にスティーヴィーのアルバムを買っては驚嘆していたのです。

私は後追いですが、初めて聞いたのは、この「インナーヴィジョンズ」か「ホッター・ザン・ジュライ(Hotter than July)」だったと思います。

今でも覚えているのは、このアルバムの冒頭に入っている「トゥー・ハイ(Too High)」です。確か中1か中2ぐらいの頃です。

音楽には時々こういうわけが分からない、しかしすごいものがあるのだなと感じたものです。

リンクを貼っておきましょう。

Stevie Wonder - Too High

太古の昔につくられた巨大なモニュメントみたいに、自分の生活にはなじまない異物感のある音楽だと思いました。

しかし同時に、それでも聞かざるを得ませんでした。

当時の才能のあるミュージシャンだけでなく、片田舎に住む中学生の心まで震わせる音楽だったのですね。



この頃のスティーヴィーの内面と昏睡状態から復活劇


このアルバムはスティーヴィーの16枚目のアルバムです。この時まだ23歳です。

このアルバムはビルボードのアルバムチャートで4位に上がりましたが、グラミー賞の最優秀アルバムを受賞したように、当時の音楽シーンに与えた影響は大変なものがあります。

一般にこのアルバムか「キー・オブ・ライフ(Songs in the Key of Life)」のどちらかが、この人の最高傑作と呼ばれることが多いと思います。

ただ「心の詩』(Music of My Mind)」から「ミュージックエイリアム(Musiquarium)」ぐらいまではどれを買っても間違いありません。

このアルバムでの彼は言いたいことを沢山抱えていたようです。

「トゥ・ハイ」では薬物乱用、「汚れた街(Living for the City)」では人種差別、「いつわり (He's Misstra Know-It-All)」ではニクソン大統領への非難など、歌詞には怒りや悲しみが満ち溢れています。

しかしその一方で、「くよくよするなよ(Don't You Worry 'bout a Thing)」ではそんなに悩まなくていいよと歌い、「ハイアー・グラウンド(Higher Ground)」では輪廻転生について歌い、生まれ変わるチャンスがあって嬉しくてたまらないよと歌っています。

感じやすく、精神的に揺れ動いていた時期なのかなと思っていたところ、以下のサイトでその不安定な時期について書かれていました。

このアルバムのテーマは、「生きるということの美が終焉を迎える日について」だと言います。

スティーヴィーは、さらに「このアルバムには、世界の恐怖と偽善についての、すべてが込められている。」
と語っています。

1973年4月の『ローリング・ストーン』誌でのインタヴューで、
スティーヴィーは、「自分はもうすぐ死ぬ」という驚くべき発言をしていていました。

Innervisions / Stevie Wonder インナーヴィジョンズ | All The ... - 楽天ブログ


このアルバムの歌詞を読めば、確かにそんな時期だったという感じがします。

そしてまるでそうした発言が予言であるかのように、このアルバムが発売された直後、1973年8月6日にスティーヴィーはコンサートから帰宅途中で交通事故に遭いました。

対向車のトラックに積まれていた木材が彼の額を直撃しました。救出された時にスティーヴィーは意識不明で、4日間昏睡状態となりました。

少し話が盛られているかもしれませんが、ウィキペディアによると彼の頭は5倍に膨れ上がったそうです。

友人兼ツアーディレクターであるアイラ・タッカー(Ira Tucker)はスティービーが大きな音で音楽を聞くのを好むことから、耳元で大声で歌っていいか医師に許可をもらったそうです。

そこでアイラ・タッカーは大声で「ハイアー・グラウンド」を歌ったところ、昏睡状態のスティーヴィーが指でリズムを取り始めたという逸話が残っています。

スティーヴィーの回復には1年を要しましたが、この事故をスティーヴィーは偶然の出来事とは思わなかったそうです。

世界はあるべき姿でそこに存在しているだけだ。自分は二度目の人生を得たのだから、自分の与えられたチャンスを活かしたいという心境になったそうです。

心理的により現状肯定的な方向へと転換したようです。スティーヴィーの音楽も、おおよそこの事故を境に変化したと思います。

ヒリヒリして、世の中の矛盾に憤り、しかし日常生活での幸せを手にしようと揺れ動く、巨大すぎる音楽の才能を抱えた23歳の若者から、より包容力のある穏やかな音楽家へと変化していきました。

このアルバムはその変化前のスティーヴィーの「インナーヴィジョンズ」、つまり「心の内にあるビジョン」を映し出した傑作だと思います。



この曲のどこがすばらしいのか


さて曲を聞いていきましょう。

「ゴールデン・レディ」は、君は僕にとって黄金の女性だ、君を失いたくないという内容を歌っています。

私はシリータ・ライト(Syreeta Wright)のことだと思います。この人です。



スティーヴィーとシリータは1972年3月に離婚していますが、この曲が書かれたのはおそらく離婚前です。

ただシリータは1972年に「シリータ(Syreeta)」1974年に「スティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ(Stevie Wonder Presents Syreeta)」と、二作連続でスティーヴィーの支援を受けたアルバムを出していますから、お互いに傷つけあって離婚したのではなさそうです。

まずイントロのハートウォーミングなピアノの響きがすばらしいです。

その後に入るゴリゴリしたベースのような音は、アタック音が少し普通のベースと違うように感じられますので、ムーグ・ベース(Moog Bass)かもしれません。

私はいつもこのベースっぽい音が入るところで、瞳孔が開いてしまいます。

ボーカルは穏やかに始まります。美しいメロディを活かそうと丁寧に歌っている印象です。

サビでは彼の特徴である高音部を活かした歌唱を聞かせてくれますが、問題はそこに絡んでくる複数のムーグシンセサイザーの音です。

ヘッドホンで聞くと左右から溢れてくるこれらの音は、奔放かつスピリチュアルとしか言いようがありません。ボーカルと一体となって心の内にある思いを、高らかに歌い上げています。

スティーヴィー自身のドラムはあまり上手とは言い難いですし、ギクシャクしていて風変りですが、Larry "Nastyee" Latimerによるコンガの柔らかなグルーブとの相性が良く、この曲では大きな弱点とはなっていません。

この曲以外にもう1曲を選ぶとすると「汚れた街」か「くよくよするなよ」を選ぶ人が多いかもしれません。無論それらの曲も傑作あることは間違いありません。

私が「いつわり」を選んだのは、このアルバムにおいて、私が最高到達地点だと思う瞬間があるからです。

まずイントロの少し小気味の良いピアノのフレーズに導かれて、穏やかなボーカルが始まります。

ただこの曲は途中でボーカルが爆発します。それは2:58のところです。それまで穏やかに歌っていたスティーヴィーがこぶしを込めて、低音を効かせて声を張り上げます。

私はここがこのアルバムの最大の聞きどころだと確信しています。今でも聞くとおおっ声が出てしまいます。

背後で鳴るハンドクラッピングの音もすばらしいです。



セルフプロデュースの弊害


さて今回私はこのアルバムを久しぶりに聞きなおして、いくつか気づいたことがあります。

このアルバムはスティーヴィーがほとんどの楽器を担当していますが、意外と独りよがりで荒いところがあるように感じました。

この曲だって冗長なところがあるし、特に自身が叩いているドラムがもう少しなんとかならないかと思わないでもありません。

もう少しタメの効いた、プロフェッショナルなドラムを入れてもよかったと思います。

ただそれでこのアルバムがつまらなくなっているかと言ったら、全然そんなことはありません。このぐらいの音楽になると減点法では測ることができないものです。

才能のある人が、自分の才能を整理できないまま発表した感があります。

つまりまだまだ伸びしろを残したままで、巨大な才能がひしめき合っていた黄金時代の頂点に君臨していたのですね。

やはりこの男は、とんでもないです。

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インナーヴィジョンズ(紙ジャケット仕様)




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