無人島の1枚を探すブログ Curtis Mayfield 「Freddie's Dead」 (アルバム:Super Fly)

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Curtis Mayfield 「Freddie's Dead」 (アルバム:Super Fly)



今回はカーティス・メイフィールド「フレディーズ・デッド」(Album『スーパーフライ』)をご紹介します。

なぜこのアルバムがカーティスの中でも特異なのか 背景を調べてみました


本日のおすすめ!(Today's Selection)
■アーティスト名:Curtis Mayfield
■アーティスト名カナ:カーティス・メイフィールド
■曲名:Freddie's Dead
■曲名邦題:フレディーズ・デッド
■アルバム名:Super Fly
■アルバム名邦題:スーパーフライ
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■音楽ジャンル:ニューソウル
■期待効果:かっこよさにうなります

曲を聞いてみたい!(Click to Listen)
Curtis Mayfield「Freddie's Dead」
※Today's Desert Island Disc

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カーティス・メイフィールド「フレディーズ・デッド」Album『スーパーフライ』ディスクレビュー


アルバムや曲のデータについて


こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールはこちら

今回ご紹介するのは「Superfly」というアルバムです。

日本ではSuperflyというと、越智志帆さんのソロプロジェクトを思い浮かべる人が多いと思います。実はそのプロジェクト名の由来は、元々このアルバムから取られています。

もともとメンバーであった多保孝一さんが、テレビで歌うカーティスの姿を見て名付けたそうです。

多保孝一さんが脱退した今もその名前が使われていますが、由来である「Superfly」という言葉自体は、あまり意味がなくて、すごくかっこいいぐらいの意味です。

このアルバムは1972年に発売されたカーティス・メイフィールドの4枚目のアルバムで、同名映画のサウンドトラックアルバムでもあります。

ただアルバムとして統一感がある為、、サントラということを意識しないで聞いている人も多いと思います。

しかし私にとってこのアルバムは、やはりサントラです。理由はサントラでなければ生まれなかった化学反応が起きているからです。

今回はそういうことを書きたいと思います。

ブラックスプロイテーション(Blaxploitation)映画について


当時はブラックスプロイテーション(Blaxploitation)と呼ばれる映画が沢山つくられていました。「スーパーフライ」もその1つです。

この「Blaxploitation」とは「Black」「Exploitation」を合わせた言葉です。「Black」は黒人、「Exploitation」とは搾取という意味で、いわば黒人からお金をむしり取る為の映画という意味です。

当時のアメリカは、アフリカ系アメリカ人がその地位向上と共に、経済力を持ち始めていました。

一方既存のテレビや映画界では、まだまだ主人公が白人ばかりで、その豊かな暮らしや白人中心の価値観を土台にした作品がつくられていました。

アフリカ系アメリカ人からすると、登場人物に感情移入できないし、価値観も違うし、そもそもその内容が自分たちの現実と比較すると、全くリアルではありませんでした。

そこで受け皿になったのが、ブラックスプロイテーション映画です。

そのギャップを逆手にとって、監督、スタッフ、役者、音楽に至るまで、全てアフリカ系アメリカ人で固めた映画を製作し始めました。

初めてのブラックスプロイテーション映画は、1971年「スウィート・スウィートバック (Sweet Sweetback's Baadasssss Song)」といわれているようです。

しかし大きな分岐点になったのは、同じ1971年の「黒いジャガー(Shaft)」のヒットです。その後「黒いジャガー(Shaft)」に続けといわんばかりに、次々に後進が続きました。

上記の他に代表的なのものを挙げておきましょう。

「コフィー(Coffy)」
「フォクシー・ブラウン(Foxy Brown)」
「110番街交差点(Across 110th Street)」

私はこの流れの先鞭を付けた「黒いジャガー(Shaft)」の監督である、ゴードン・パークス(Gordon Parks)という人に注目しました。



「黒いジャガー」の監督をしたゴードン・パークスという男について


ゴードン・パークスは「黒いジャガー(Shaft)」の監督をしたことでも有名ですが、一番有名なのはカメラマンとしての業績です。

彼は子供の頃にとても貧しい暮らしをしていました。彼は貧しい中でも毅然としていた母親の生き方から影響受けたのだそうです。彼の母親は掃除婦をしていました。

母親は「白人にできるのならば、おまえにもできる」と言い聞かせて、彼を育てました。

しかし貧しい暮らしの中で、突如母親が亡くなります。その時彼は15歳でした。

その後カメラという表現手段を手に入れた彼は、母親から言われた通り、白人に負けない仕事をしようと奮闘します。その結果、黒人として初のライフ誌やヴォーグ誌のカメラマンにまで昇りつめました。

一流のファッションカメラマンとしての地位を築きながら、彼には報道カメラマンとしての側面がありました。

彼は公民権運動を支持する写真を数多く発表して世の中に訴えたり、貧しい人たちや社会的弱者に目を向け、その姿を写真に収め続けました。

その代表作の1つがこの写真です。

800px-Gordon_Parks_-_American_Gothic.jpg

この写真はアメリカの画家グラント・ウッドが描いた「アメリカン・ゴシック」という映画に対するパロディだと言われています。

パロディの元の絵は以下です。

399px-Grant_DeVolson_Wood_-_American_Gothic.jpg

この絵はよくパロディに引用されているらしく、アメリカ人では誰もが知っている絵のようです。

注目したいのは、絵画では干し草用のピッチフォークを手にしていて、女性の写真では、星条旗の下で掃除道具を持っていることです。

グラント・ウッドという絵画で表現されている清貧で小ぎれいな価値観は、多くの弱者の上で成り立っていることを、一枚の写真で露わにしたのです。

ひょっとしたら彼は、掃除婦の仕事をしていた母親の姿を重ね合わせていたのかもしれません。

その彼が監督を務めた映画が「黒いジャガー(Shaft)」です。

そして今回取り上げた映画「スーパーフライ」は、ゴードン・パークス・ジュニア(Gordon Parks Jr.)というゴードン・パークスの息子が監督を務めています。

ゴードン・パークスはこの映画の製作にあたって、息子に対して最大限の支援をし、親子で映画づくりに奔走しました。

さてここで疑問が出ます。

ブラックスプロイテーションという映画の呼び方が、小金を持ち始めたアフリカ系アメリカ人からお金を搾取するという意味の呼び方だと、先ほど述べました。

ゴードン・パークスという死ぬまでずっと貧しく虐げられてきた人々を支援をすることに人生を捧げてきた人が、はたして本当に搾取する側に回ろうとしたのでしょうか。



カーティスはブラックスプロイテーション映画について、どう考えていたか


この映画はプリーストという主人公が麻薬の取引をめぐるゴタゴタを描いたもので、お世辞にも倫理的とは言えないB級映画です。

ただカーティスはかなりこの映画音楽の製作にのめりこんだそうです。

この映画が自分たちの現状をリアルに映し出しているということが、彼の信念に響いたようです。

カーティスは以下のように語っています。

「この映画に対する奴らの考え方は、奴らのストリートへの考え方と一緒だ。奴らの出自は大体分かっているし、奴らが『Super Fly』を所詮ドラッグ映画と見ていることも知っている。

だが、『Super Fly』ほど分かりやすいアンチドラッグ映画はないと思う。

批評家の連中は映画を見てくれている観客のことを見くびっている。俺が言いたいのは、アンチドラッグCMもドラッグを推奨するCMとして見ることができるってことだ。

ドラッグなんて存在しないと偽るなら、ドラッグに対して何もできないってことになる。何が良くて、何が悪いかという判断は、世間を信じて彼らの手に委ねるべきだ。

息子が語るCurtis Mayfield『Super Fly』 - Red Bull Music Academy


この映画は黒人コミュニティの問題点をきちんと映し出している。決して倫理的ではないが、その解釈は観客にゆだねるべきだ。リアルだからこそ重要だろうと言いたいようです。

それまでの映画での黒人の役割といえば、脇役であったり、殺される役などばかりでした。この映画では主人公が黒人になっていますが、そのこと自体当時は稀でした。

それだけでなく、この映画ではスタッフを含め全て黒人だけで構成され、製作の資金も歯医者などの比較的裕福な同じアフリカ系アメリカ人からの出資を受けています。

しかしブラックスプロイテーション映画は、1970年代後半になると衰退しました。

全米黒人地位向上協会という同じアフリカ系アメリカ人の中から、麻薬の売人やぽん引き、ヒットマンなど黒人をステレオタイプのイメージに固定するものとして、反対する声する声が挙がったためです。

最近よく話題となっているポリティカル・コレクトの話にも通じるところがあります。

よくポリティカル・コレクトに配慮するあまり、リアルな本音を率直に訴えることができなかったり、表現に対する制約が多くなってしまうという問題が議論されています。

ただブラックスプロイテーション映画は、テレビや映画界に黒人の俳優や監督などの人材を供給したことで、大きな意味がありました。

またその魅力は、ブラックスプロイテーション映画に多大な影響を受けたタランティーノのおかげもあって、再評価されている部分もあります。

再度カーティスの言葉を引用しましょう。

最晩年になってからも、父は『Super Fly』を擁護してはばからなかった。

亡くなる3年前の1996年に行われたインタビューで、父は「ブラックスプロイテーションは自分たちにとってポジティブなものだった。

それ以前の時代は、自分たちの知性を映画で表現することさえできなかったんだ。映画の中の黒人はいつも殺される役だった。だが、『Shaft』や『Super Fly』は違ったのさ」と発言していた。

息子が語るCurtis Mayfield『Super Fly』 - Red Bull Music Academy


この証言でようやく「黒いジャガー(Shaft)」の監督をしていたゴードン・パークスとカーティス・メイフィールドが繋がりました。

ゴードン・パークスは有名な人でした。黒人の地位を高める運動の中で彼が何をしてきたのか、当然カーティスも知っていたはずです。

そのゴードン・パークスが映画をつくったのであれば、当然カーティスは見に行ったのでしょう。

ゴードン・パークスはこの映画をつくろうとしている息子の為に多額の資金を提供し、相談に乗り、自ら役者としても参加するという献身的なバックアップをしています。

カーティスはインプレッションズ(The Impressions)時代からずっと、黒人の地位向上の問題に対して、強い関心を寄せていた人です。

この映画音楽の製作のオファーをカーティスはものすごく喜んだそうですが、それは当然のことだったでしょう。



この曲のどこがすばらしいのか


さて曲を聞いていきましょう。

まずこの「フレディーズ・デッド」はリフがかっこいい曲です。

リフのかっこいいファンクは他にもありますが、これほどまでにリフがかっこいい曲は珍しいと思います。

途中ピッコロかフルートみたいな音がリフに重なっているところもありますが、この印象的なリフ一発で、カーティスの気合の入り方が分かろうというものです。

この曲は映画に出てくる主人公の仲間、フレディの死を歌ったものです。その時の証言を引用しましょう。

父はゲットーを映画のワンシーンたりとも美化したくはなかった。

そして父は引き下がる代わりに積極的な行動に出た。父は各登場人物を入念に研究して曲に落とし込み、各曲が映画のミニチュアになるように仕上げた。

息子が語るCurtis Mayfield『Super Fly』 - Red Bull Music Academy


だたフレディという人物は警察に捕まり、取引のことを話した末に死んだのですから、けっしていい死に方とは言えません。それについてカーティスはこう言っていたそうです。

Freddieは、間違った人間とつるまなければ生き延びられたかもしれなかった、至って普通の男なんだ。

より多くの人が自分自身をFreddieと重ね合わせるだろうし、自分が危険なことに首を突っ込んでいることに注意しなければ死ぬんだってことに気付くだろう。

息子が語るCurtis Mayfield『Super Fly』 - Red Bull Music Academy


カーティスは反面教師としてほしいという意味を込めて、あえてこの曲をシングルカットにしたのだそうです。

カーティスは映画にリアリティを与える為に、ストリートのヒリヒリした感覚を音楽に持ち込んでいます。

1曲だけでは分かりにくいと思いますので、もしお時間があれば以下の曲もチェックしていただければと思います。

Curtis Mayfield Little Child Runnin' Wild
Curtis Mayfield - Junkie Chase (full version)

ちなみにこのサントラは映画公開前に発売されています。

なぜそうしたかというと、お金がなくて宣伝費を捻出できないことから、先にこのアルバムで評判を高めてから、映画への集客をはかろうとしたのです。

つまりこの映画が成功するかどうかは、このサントラにかかっていたのですね。

その結果ですが「フレディーズ・デッド」は全米チャート4位、アルバムは1位を獲得しました。

それを受けて、この映画も大ヒットして、一時は「ゴッドファーザー(The Godfather)」を脅かす人気だったそうです。

カーティス自身もこのアルバムによって地位を確立して、日本のミュージシャンのソロプロジェクト名にアルバム名が使われるぐらいの存在になりました。

ただこのアルバムはカーティスの中でも代表作とか最高傑作といわれる一方で、相当に特異なアルバムです。

それまでの彼のアルバムは、いい曲はとびぬけていいけれど散漫な曲も多かったと思います。

この濃密でむせ返るような感覚は、他のカーティスのアルバムでは聞いたことがありませんし、全編に感じる緊張感と充実感は一体何だろうと、聞く度に思っていました。

その違和感を感じたことが出発地点となって、今回背景を少し調べてみることにしました。

調べた結果、私はこのアルバムはカーティス・メイフィールドの単独のアルバムではなく、様々な人の思いが練り込まれて作られたサウンドトラックアルバムだと思いました。

自分に与えられた責任のプレッシャーと、重要な仕事を任せられた喜びなど、カーティスの気持ちが伝わってくるアルバムです。

傑作になって当然だったかもしれません。

引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。


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