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Mike Finnigan 「New York State of Mind」 (アルバム:Mike Finnigan)



今回はマイク・フィニガン「ニューヨークの想い」(Album『マイク・フィニガン』)をご紹介します。

マリア・マルダーとの出会いがこの希代の名作を生んだ エイモス・ギャレットの名演もすごい!


本日のおすすめ!(Today's Selection)
■アーティスト名:Mike Finnigan
■アーティスト名カナ:マイク・フィニガン
■曲名:New York State of Mind
■曲名邦題:ニューヨークの想い
■アルバム名:アーティスト名と同じ
■アルバム名邦題:アーティスト名カナと同じ
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■音楽ジャンル:シンガーソングライター
■期待効果:故郷を思い出します

曲を聞いてみたい!(Click to Listen)
Mike Finnigan「New York State of Mind」
※Today's Desert Island Disc

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マイク・フィニガン「ニューヨークの想い」Album『マイク・フィニガン』ディスクレビュー


経歴について


こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールはこちら

今回は脇役系の人を取り上げます。といっても裏方のセッション・ミュージシャンの世界では、大変売れっ子の人です。

まずこの人の経歴から始めたいと思います。

マイク・フィニガンは1945年、アメリカのオハイオ州にあるトロイという街で生まれました。

その後進学したカンザス大学では、バスケットの特待生だったようです。

大学ではバスケットに明け暮れていたと思いきや、同時期に音楽にのめり込んでいたそうです。大学の時からカクテルバーやラウンジで演奏していたという逸話が残っています。

プロバスケット選手の夢が叶わなかった彼は、大学卒業後に音楽の道に進むことを決意します。

彼はサーフス(The Serfs)というバンドで、1969年「Early Bird Cafe」というアルバムを発表しています。

そのアルバムからの曲をご紹介しましょう。特に良い曲という訳ではありませんので、興味のある方だけお聞きください。

The Serfs - Time's Caught Up With You

このバンドの前に彼は、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の名盤「エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)」にも参加していますから、もう既にセッションミュージシャンとしてのキャリアを歩み始めています。

おそらくサーフスの主導権を握っている立場だったでしょう。

サーフスのこのアルバムは、スワンプロックの裏名盤的な扱いをされることがありますが、上の曲みたいにスワンプとは違った若気の至り的な曲も収録されています。

当時の若者らしい少しとっちらかったようなサウンドですが、当時としては目新しい響きがあったと思います。

先程の曲ではヴィブラフォンも入っていて、カクテル・バーで演奏していた名残りも感じられますね。

一方彼が青春時代をずっと過ごしてきたオハイオ州とカンザス州は、アメリカでも田舎扱いされることが多い土地柄です。

このサーフスの時点で、南部アメリカ音楽の影響を受けたスワンプ・サウンドと、華やかな場所でのヒップな音楽との間で揺れ動く、自分のアイデンティティを模索しているようなところを感じます。

さてその後彼は、ブラザーフッド(The Jerry Hahn Brotherhood)、フィニガン&ウッド(Finnigan & Wood)などのバンドに参加します。

一方でWhirlwind of Tom BolinやBig Brother & the Holding Companyのレコーディングにも参加していて、セッション・ミュージシャンとしてのキャリアを重ねてきました。

その彼に転機が訪れます。

1974年デイブ・メイスン(Dave Mason)のバンドに、キーボードとして参加することになります。



1976年に何が起こったのか 交差する人間模様


このアルバムが出た1976年は、デイブ・メイスンのバンドのメンバーとしても絶好調でした。この頃彼はデイブ・メイスンのバンドで番頭格の立場になっていました。

同年に発売された『Certified Live(情念)」という大変すばらしい2枚組ライブでも、1曲彼がリード・ボーカルをとっている曲があります。

不安定なセッション・ミュージシャンだったのが、生活の安定と自分が輝ける舞台を得ることができて、まさに彼は人生最高の時期を迎えていました。

この頃彼はもう30才になっていました。

その年マイク・フィニガンは、マリア・マルダー(Maria Muldaur)の「スウィート・ハーモニー(Sweet Harmony)」というアルバムのレコーディングに参加しました。

その時に彼女に認められて、彼女の推薦でワーナーブラザーズ(Warner Bros.)とソロデビューの契約をすることができました。

きっかけになったのはこのアルバムです。



さて、今回取り上げた曲のオリジナルは、ご存知ビリー・ジョエルです。この当時1976年は、ビリーはまだ売れていませんでした。

オリジナルは「ニューヨーク物語(Turnstiles)」というアルバムに入っていて、当時はアルバムチャート122位と振るわず、ほとんど知られていなかった曲です。

この「ニューヨークの想い」はシングルカットされていないこともあって、当初はアルバムの中の1曲にすぎませんでした。

ビリー・ジョエルがライブで地道に歌い続け、翌年の1977年に当時絶頂だったバーブラ・ストライザンドがアルバムで取り上げたことで有名になった曲です。

マイク・フィニガンのアルバムは、オリジナルと同じ1976年の発表です。まだこの曲がビリージョエルの代表曲となる前に取り上げたのは、慧眼だったと言えるでしょう。



田舎生まれのこの男が、なぜニューヨークへの想いを歌っているのか、素朴な疑問


「ニューヨークの想い」は、当時ロサンゼルスで活動していたビリー・ジョエルが、生まれ故郷であるニューヨークへの想いを歌った曲です。

一方マイクフィニガンは田舎生まれ田舎育ちですから、ニューヨークは彼の故郷でもなんでもありません。

田舎で生まれ育った人がニューヨークへの想いを歌うという、不思議な組み合わせとなっています。

私はこの点を掘り下げようと調べてみましたが、この曲を取り上げた経緯についての情報は見つかりませんでした。

ただ推測ではありますが、今回はこういうことかなと私が妄想したことを書きます。

そこにはデビューのきっかけを与えてくれたマリア・マルダーの存在があるというのが、私の推測です。

マリア・マルダーは当時とてもニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ生まれで、ニューヨークの最もヒップなカルチャーの中の真っ只中で生まれて、シーンの中心になった人です。

日本でいえばまだ尖っていた頃の裏原宿でシーンを代表していたファッション・アイコンみたいな存在でした。

そのアルバムのレコーディングに参加するだけで、マイク・フィニガンはさぞかしうれしかったのではないかと思います。

彼は上記の「スウィート・ハーモニー」だけでなく、次作の「サザン・ウィンズ(Southern Winds)」にもキーボードで参加しています。



マリア・マルダーはとても美しく、とても才能のあるシンガーでした。

ちなみに彼女の娘は一時美しすぎると話題になったジェニ・マルダー(Jenni Muldaur)です。



読者サービスはこのぐらいにして、なぜマリア・マルダーが「ニューヨークの想い」という曲を取り上げることに関わっていると思ったのかについて書きます。

実はこのアルバムではマイク・フィニガンは「サザン・レイディ(Southern Lady)」という曲で、マリア・マルダーとデュエットしています。

その曲の中でマイク・フィニガンは「俺ならお前を南部の女にしてやれる」と歌っています。まるでマリア・マルダーが南部の女にあこがれていると思わせる設定です。

そして1978年発表のマリア・マルダーのアルバムタイトルは「サザン・ウィンドウ」、つまり「南部からの風」です。

おそらく2人の間では、ニューヨークよりも南の出身の男であるマイク・フィニガンがニューヨークにあこがれていて、ニューヨーク生まれの女、マリア・マルダーが南部にあこがれるという設定だったのではないかと思います。

つまり「ニューヨークの想い」と「サザン・レイディ」は、それぞれの立場から相手の土地にあこがれているという設定です。

当時、マリア・マルダーは1943年生まれで、マイク・フィニガンは1945年生まれです。

恋仲とまでは思っていませんが、2才年上のマリア・マルダーとは、とても気の合う良い関係だったのだろうと思います。



この曲のどこがすばらしいのか


さて曲を聞いていましょう。

このアルバムは音楽的にも、ニューヨークの洗練と南部アメリカ音楽の濃厚な泥臭さの両面を併せ持つアルバムです。このアルバムはニューヨークと南部マッスル・ショールズ・スタジオの2か所でレコーディングされています。

それは参加しているミュージシャンからもうかがえます。

私の持っているCDでは曲単位で誰が参加しているのか、クレジットが記載されていません。

ただこの「ニューヨークの想い」のイントロは笑えるぐらい、エイモス・ギャレット(Amos Garrett)のギターそのものです。実際エイモスはこのアルバムに参加しています。

この人とマリア・マルダーがニューヨークのミュージシャン代表です。

もし違う人が弾いていたとしても、きっと私は「まるでエイモスみたいなギター」と表現するでしょう。

クリアーなトーンで、そこはかとない叙情とアンニュイさを漂わせた演奏はこの人のトレードマークです。

イントロの演奏からエイモスは自分の刻印を押しまくりの演奏を聞かせてくれますが、私はこの人の本当のすごさは、歌の背後でのバッキングだと思います。

以前私は歌の背後でただコードをジャカジャカ鳴らすような、騒音発生装置的なギターの使い方が、あまり好きではないということを書いたことがあります。

一方この曲の背後でエイモスはあくまで歌を引き立てることに専念しています。そのおかげで歌が映えていますし、結果的にその照り返しでギターも輝いています。

こういう演奏は、ギターという楽器に対する愛情と洞察力に優れていないとできません。脇役がしっかり仕事をすると曲がしまります。

それ以外の楽器は誰かの演奏か分かりませんが、エイモスのギターとマイク・フィニガンのボーカルだけで世界を作り上げてしまっていますから、あまり興味が湧きません。

このアルバムとしては他にマッスル・ショールズ(Muscle Shoals)のミュージシャンで固められています。

いずれ劣らぬ屈強な手練れぞろいなので、きちんと名前を挙げておきましょう。

ロジャー・ホーキンス(Rodger Hawkins)
デビッド・フッド(David Hood)、
バリー・ベケット(Barry Beckett)
ジミー・ジョンソン(Jimmy Johnson)
ピート・カー(Pete Carr)

プロデューサーのジェリー・ウェクスラー(Jerry Wexler)を含めて、これらの人たちがこのアルバムにおける南部のミュージシャン代表です。

私の感覚では、マイク・フィニガンのまっすぐで濃厚で男くさい歌い方は、マッスル・ショールズの音楽の方が相性がいいように思います。

ただ今回ご紹介した曲はすばらしい楽曲の魅力と、エイモスの快演もおかげもあって、このアルバムのハイライトとなる決定的な名曲になっています。

この高度な表現力を求められる曲を、マイク・フィニガンは下手な小細工でいじらずに、まっすぐ歌一本で立ち向かって、見事モノにしています。

もっさりした男だからこそ出せる、まっすぐなニューヨークへの想いに、聞いているとこちらまでグッときます。

最後にジャケットもニューヨークっぽいですよね。

「ここはビルが多すぎるな。でもなかなか悪くないぜ。ところで俺の馬はどこだ」みたいなセリフが聞こえてきそうです。

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マイク・フィニガン




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