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ムーンライダーズ 「悲しい知らせ」 (アルバム:ANIMAL INDEX)



今回はムーンライダーズ「悲しい知らせ」(Album『アニマル・インデックス』)をご紹介します。

鈴木慶一さんがうつ一歩手前の時 たこ八郎に救いを求めた気持ちを理解できる曲


本日のおすすめ!(Today's Selection)
■アーティスト名:ムーンライダーズ
■アーティスト名英語:moonriders
■曲名:悲しい知らせ
■アルバム名:ANIMAL INDEX
■アルバム名邦題:アニマル・インデックス
------------------------------
■音楽ジャンル:ポップス
■期待効果:考えさせられます

曲を聞いてみたい!(Click to Listen)
ムーンライダーズ「悲しい知らせ」
※Today's Desert Island Disc

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アーティスト名 ABC順リスト(Artists ABC)
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ムーンライダーズ「悲しい知らせ」Album『アニマル・インデックス』ディスクレビュー


この曲を捧げたたこ八郎という存在について


こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールはこちら

今回は日本の人気バンドを取り上げます。

この曲はたこ八郎さんに捧げられています。

たこ八郎さんは本名が斎藤清作という元プロボクサーで、後に俳優やコメディアンとして活躍した人です。

私も名前ぐらいは知っていましたが、ウィキペディアでこの人の人生を辿ってみたところ、とても興味深い人だと感じました。

少し長くなりますが、ウィキペディアから印象的な箇所を拾ってみましょう。

年時代に友達とどろんこの投げ合い遊びをしていて、泥が左眼に当たったことが原因で左眼の視力をほとんど失う。

すぐに病院に行き治療すれば失明はしなかったと言われたが、少年時代は裕福な家庭ではなかったため、病院に行けば親に迷惑がかかると思い黙っていたと後に語っている。

同ジム同期にはファイティング原田がいたが、フライ級の東日本新人王戦の準決勝で原田との同門対決となったため、対戦を辞退している。

この辞退に関して、たこの没後、原田は「他の人の前で何と言ったかは知らない。しかし自分の前では、ただの一度も恨み言は言わなかった」と語っている。

元々、由利は斎藤を弟子にするつもりはなく、ボクサー時代に弟子入りを希望してきた斎藤に、断る口実として「ボクシングでチャンピオンになったら弟子にする」という条件を出し、その時には王者になるとは思ってもいなかったが、実際に日本王者になり、それならと弟子入りを認めたという。

ウィキペディア たこ八郎


こういう一途でやさしい人みたいだったみたいですが、その後彼は天然なキャラクターを活かして、お茶の間で人気者になりました。

「たっこでーす」という自己紹介で有名な人で、基本いじられキャラでしたが、この人はパンチドランカーの症状があって、素の状態でいつも酔っていたような状態だったらしいです。

彼は飲酒した後に海水浴に行き、心臓マヒでお亡くなりになっています。

出棺の時、赤塚がたこの額を叩き「この野郎、逝きやがったな。」と泣き笑いをしていたという。

ウィキペディア たこ八郎


ナチュラルなおバカで、いつもニコニコしていてご機嫌が良く、しかし一方でとてもやさしくて一途な人だったのですね。



この頃の鈴木慶一さんは鬱一歩手前だった


このバンドは音楽性をコロコロ変えていますし名作も多いですが、私は特に「青空百景」などの80年代の傑作群がすごいと思います。

今回ご紹介する曲も、その傑作群の中の1つです。

このアルバムの特徴を、ウィキペディアから引用しておきましょう。

全体のコンセプトは『動物』と『個人によるバンドの構築』であり、歌詞には動物が登場する。各メンバーが2曲ずつ作曲しており、録音作業は各自で自由に行い、最終的に鈴木慶一がまとめている。

ウィキペディア ANIMAL INDEX


動物がテーマだけに「犬にインタビュー」とか「羊のトライアングル」など、動物にちなんだ曲ばかりが収録されています。

しかしこのアルバムのもう1つのテーマである個人の寄せ集めでの制作体制が、このアルバムの性格に大きな影響を与えています。

こうしたドライな分業制での音楽制作はYMO(Yellow Magic Orchestra)に似ています。そういえばこの人たちは、YMOとも近しい人たちでしたね。

このバンドは元々ドライなところがあって、音楽で食べていくことをテーマに掲げ、アグネス・チャンのバックバンドなどもやっていたりしていました。

このアルバムの頃はもう音楽で食べていくことが実現できていた頃ですが、この曲を書いた鈴木慶一さんは前作ぐらいから、精神的に相当しんどい時期だったらしいです。

それを示すインタビューを書き起こしたブログから引用しておきましょう。この曲の歌詞について、インタビュアーが質問しています。

- <生きてるのか 死んでるのか わからない気持ち>(「悲しい知らせ」)。これはすごい言葉です。

鈴木 まさにそんな気持ちだよ。物を作る現場、労働に対する愛情を、見失ってしまった。

「ここへいることへの愛情はないぞ、ここにいる必要はないのに、なんでいなきゃならないんだろう」って。・・・(中略)

・・・「これ以上ここにいると気が狂いそうだ」って。・・・労働のスタイルが変ってしまった。(後略)

かなり苦しい状況であろうとも、これ以上いられない、っていう状態までいたってことが、作品を生み出したんだよ、きっと。

MOONRIDERS / ANIMAL INDEX KAMAKURA☆CHAMPROO


しかしこの曲はとてもポップですよね。しかし一方では歌詞はとても深刻な感じがします。



歌詞から見えるギリギリな切迫感


ここまで説明して、ようやくこの歌詞の意味を理解する準備が整いました。この曲の歌詞に以下のようなところがあります。

つまずいて大切なバラの茎折った(中略)

天使を連れてきてよ ねぇ兄貴
気分を戻したいんだ そして
馬鹿でまぬけな このボンクラ頭 神に捧げよう(中略)

悲しいしらせがあるよ 今日 ボクが死んだ なんて
生きてるのか 死んでるのか わからない気持

悲しいしらせ / Moonriders の歌詞 (13878) - プチリリ


歌詞に兄貴とありますが、たこ八郎さんはこの曲を書いた鈴木慶一さんの9歳年上です。

歌詞からも、やはりギリギリな感じが伝わってきますね。しかしそのギリギリ感は、他のメンバーも同じでした。

このアルバムではそれぞれのメンバーが一人でスタジオに入り、全体を取りまとめている鈴木慶一さんだけが、その個人のレコーディングに付き合うという制作体制だったそうです。

私もなんとなくおっかない歌詞が多いなと思って聞いていましたが、下のブログではこのアルバムのネガティブな言葉を見つけて以下のように抜き出しています。

■「つまづく」 「折る」 「死ぬ」 「逃げる」 「埋める」 「壊れる」 「割る」 「忘れる」 「泣く」 「溶ける」 「ちぎれる」 「飢える」 「しゃがむ」 「寒気がする」 「卑怯で」 「臆病者で」 「灰になる」 「凍りつく」 そして「白紙にする」

Animal Index / Moon Riders | トカトントン 2.1 - 楽天ブログ


他の曲も粋でポップな曲にばかりなのに、ギリギリの追い詰められた感情が吐き出されています。この後に鈴木慶一さんは鬱になってしまいます。

バンドはドライな個人主義が進みつつありましたが、その個人主義を可能としたのは、テクノロジーの進歩です。

曲を作るのに他のメンバーの助けがなくても1人で音楽をつくることができるようになっていました。

先程述べたようにこういう音楽制作の分業制はYMOを彷彿とさせますが、YMOもBGMで分業体制が進んだ2年後に散開しています。

ビートルズ(The Beatles)のホワイトアルバム(The Beatles)の2年後に解散しています。バンドがバラバラに音楽を制作しはじめるのは、危険サインとなる場合があります。

こういう状況は普通の人でもありそうですね。

きわめて高度で個人主義的な分業体制の確立された職場で、自分の存在意義が分からなくなったりとか。あるいは仕事ばかりの夫と家事と育児に追われる妻との間で会話がなくなった状態とか。

自分のやるべきことをやっているのに、がんばればがんばるほど生きている理由が希薄に感じられてくる、そういうことはないでしょうか。

「生きてるのか 死んでるのか わからない気持」とは、極めて現代的な病かもしれません。



この曲のどこがすばらしいのか


さて曲を聞いていきましょう。

さてイントロからヨーロピアンなイメージを喚起するシンセサイザーとコーラスのアレンジが冴えています。

そこに少しトライバルなリズムが絡んできます。この時期の彼ら特有の少し尖った楽曲かなと思いきや、36秒から総天然色ポップな展開になります。

シンセサイザーの音色はこの曲が発表された1985年の時代を反映した、今の時代からしたら少しきつい音色かもしれませんが、このぐらいの名曲になると音色を超えて訴えかけてきます。

1:45から少しの間、まるでビーチ・ボーイズ(Beach Boys)の「グッド・ヴァイブレーション(Good Vibrations)」の頃を思わせる不穏な箇所があります。

その時期のビーチ・ボーイズでも、リーダーのブライアン・ウィルソンが精神的に破綻し始めてきていました。

その後「僕が死んだ」と気持ちよさそうに歌った後、浮遊感のあるシンセサイザーをバックに、あやうい感じのギターソロが入っています。

後半はやけくそな感じで「生きてるのか 死んでるのか わからない気持」と明るく繰り返し歌っています。

才能がぎっしり詰め込まれていて、あやういところと極度にポップなところが乖離した感じ、そして展開が明るければ明るいほど破綻への予感を感じさせるところは、やはりブライアン・ウィルソン的ポップスの宿命を感じさせます。

この頃鈴木慶一さんは、その域に達しようとしていました。

このアルバムでは他にこんな名曲も残しています。リンクを貼っておきましょう。

moonriders  歩いて, 車で, スプートニクで

上の曲でも鬱モードで「去りゆく知性」と繰り返されています。

今回ご紹介した「悲しい知らせ」は失われてしまったばか野郎、たこ八郎に救いを求めている歌詞でした。

たこ八郎はボクシングの後遺症でパンチドランカーの症状が出て、友達の家で小便を漏らしたり、セリフを覚えられないで撮影に来たりなど、周囲に迷惑をかけることが多かったようです。

そういう時にたこ八郎は「迷惑かけて、ありがとう」と言っていたそうです。それを言われると周囲は快く許していたのだとか。

普通は迷惑かけたらすいませんですよね。でも、不思議といい言葉のように思います。

こんな言葉は知性からは出てきません。でも知性があれば人は幸せになるのかと言ったら、おそらくそうではなさそうです。

分業制と個人主義が進んだ高度な人間ゲームの中で、たこ八郎のような人の存在が、ある意味救いのように思えるのは分かる気がします。

閉塞した状況から幸せへのブレイクスルー、そのヒントをこの曲に見つけてみてはいかがでしょうか。

引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。


ANIMAL INDEX <デジタルリマスター盤>




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