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BMX Bandits「I Wanna Fall in Love」(アルバム:Theme Park)

「人をほっこりさせ、幸せな気分にさせる曲 ぜひ動画を視聴してください」

今回はBMXバンディッツ「アイ・ワナ・フォール・イン・ラヴ」(Album『テーマ・パーク』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:BMX Bandits
■アーティスト名カナ:BMXバンディッツ
■曲名:I Wanna Fall in Love
■曲名邦題:アイ・ワナ・フォール・イン・ラヴ
■アルバム名:Theme Park
■アルバム名邦題:テーマ・パーク
■動画リンク:BMX Bandits「I Wanna Fall in Love」

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BMXバンディッツ「アイ・ワナ・フォール・イン・ラヴ」(アルバム:テーマ・パーク)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

今回はイギリスのグラスゴーのバンドを取り上げます。

もしくは、スコットランドのバンドと言った方がいいのかもしれません。

グラスゴーは人口が58万人ぐらいで、イギリス全体では第4の規模、スコットランドでは最も大きな都市です。

北方の要所といった感じの街で、日本でいえば仙台市を少し小さくしたイメージかもしれません。

音楽ファンにとってとても大切な場所なので、地図で確認しておきましょう。

地図では小さいのですが、下の緑の丸マークがロンドンで、上の緑の丸マークがグラスゴーです。

Glasgow

この地域は多くの名バンドを輩出しています。代表的なところを挙げておきましょう。

アズテック・カメラ(Aztec Camera)
オレンジ・ジュース(Orange Juice)
ベル&セバスチャン(Belle and Sebastian)
フランツ・フェルディナンド(Franz Ferdinand)
トラヴィス(Travis)
モグワイ(Mogwai)
ザ・フラテリス(The Fratellis)

ただこの地域は、先日ポップグループでご紹介したブリストルと同じく、その土地ならではの特徴を持ったバンドを数多く輩出しています。

私がグラスゴーならではと思うバンドをいくつか挙げておきましょう。

ティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub)
パステルズ(The Pastels)
ヴァセリンズ(The Vaselines)
ユージニアス(Eugenius)
スーパースター(Superstar)
ナイスマン(Nice Man)

他にも数多く挙げきれません。これらのバンドに共通するのは、あともう一歩という感じです。

音楽的には大変すばらしいことは、間違いありません。

しかしヒットチャートを駆け上がるには、何か致命的に足りないところがある。

ただその足りないところがあるゆえに、不思議と愛着が湧くところがあります。

それは押しの強さとか下世話さであったり、個性的な楽器の演奏力であったり、少し咀嚼しないと良さが分かりにくいところです。

今回ご紹介するBMXバンディッツもそういうバンドで、私がとても大切に聞いているバンドです。

ほんわかした魅力がうまく伝わるかどうかわかりませんが、この曲はグラスゴーの音楽を好きな人にとって、琴線に響くところがある曲だと思います。

この曲で初めてグラスゴーの音楽に出会う人も、この曲を入り口として、グラスゴーの音楽を気に入ってもらえたらうれしいです。


バンドとアルバムのデータについて

このバンドは1986年に結成されたグループで、バンド名の由来を調べましたが、よく分かりませんでした。

「BMX」というのは競技用自転車のことで、「Bandits」は山賊とか無法者みたいな意味らしいので、「自転車の無法者」みたいな感じかもしれません。

このアルバムは1996年にリリースされたアルバムです。

通算で何枚目か判断するのが難しいですが、ウィキペディアをみると6枚目となっています。

それよりはクリエイションからの3枚目と言った方が、ファンにとっては分かりやすいかもしれません。

クリエイション三部作は「ライフ・ゴーズ・オン(Life Goes On)」「ゲッティン・ダーティー(Gettin’ Dirty)」「テーマ・パーク(Theme Park)」は、どれも名作ぞろいです。

プロデューサーのキム・フォーリー(Kim Fowley)について

このアルバムの特徴は、キム・フォーリーがプロデュースを手掛けていることです。

この人は、サイケデリックとかガレージとかいう言葉が似合う、少し無軌道でアウトな感覚を持った人です。

下のジャケットからも、どういう人か分かりそうではないでしょうか。

一般的にはランナウェイズ(The Runaways)のプロデューサーとして有名な人で、怪人みたいな言われ方をされることもが多いです。

おかしなエピソードがあったので、引用しておきましょう。

“トレーニング”と称してゴミを投げつけながら彼女達に演奏させたのは有名な話だ。

Hotwire Japan ≫ 伝説の音楽プロデューサーKim Fowleyが死去

これまで彼がプロデュースしてきた人たちの名前を見ても、せいぜいグラムロックっぽいバンドがあるぐらいで、ギターポップのプロデュースを手掛けてきた人ではありません。

BMXバンディッツは、ダグラス・T・スチュワート(Duglas T. Stewart)のソロプロジェクトみたいなバンドです。

ダグラス・T・スチュワートはダニエル・ジョンストン(Daniel Johnston)が好きみたいなので、キム・フォーリーの人選は全く意外というわけではありません。

ただこの当時ダグラス・T・スチュワートは。よりソフトで完成度が高いポップスへと移り変わる途中でしたから、それに合った人ではないと思います。

クリエイション・レコーズ(Creation Records)のアラン・マッギー(Alan McGee)について

このプロデューサーの人選は、BMXバンディッツが所属していたクリエイション・レコーズのボス、アラン・マッギーの意向だと、私は推測しています。

アラン・マッギーとクリエイション・レコーズについては、以下のコメントがよく示しています。

そのクリエイションの精神について、アランは次のように説明している。

パンクとサイケを混ぜ合わせていこうというのが俺とジョー・フォスターのアイディアだった。

【知りたい】オアシス、プライマル、マイブラ……クリエイション・レコーズの伝説を振り返る

クリエイション・スープ(Creation Soup)という5枚組のレーベルコンピレーションを聞くと、クリエイションというレーベルは普通にポップな曲が、あまり多くないという印象を受けます。

アラン・マッギーは、普通のポップスみたいな曲なんかつまらないと考えていた節が伺えます。

アラン・マッギーは以前、今回のアルバムと同じく一見ミスマッチと思えるプロデューサーを付けて、成功したという経験があります。

プライマル・スクリーム(Primal Scream)の「ソニック・フラワー・グルーヴ(Sonic Flower Groove)」のプロデューサーとして、メイヨ・トンプソン(Mayo Thompson)を採用したことです。

当時のプライマル・スクリームは今とは大きく違って、まるでネオアコのような、少し甘くさわやかでポップな音楽性でした。

メイヨ・トンプソンはキム・フォーリーと少しタイプが違いますが、少しアウトな感覚を持っている人です。

ただそのアルバムでは、結果としてとてもすばらしいアルバムができました。

私はその成功体験が、今回のキム・フォーリーの人選に影響したのではないかと推測しています。

さて問題は、今回それが吉と出たかどうかです。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

イントロはドラムが少し入ってから、まるで一斉に飛び出すかのようにギターとボーカルが始まります。

ギターはいたって普通で、どこにでもあるフレーズを弾いているだけです。

特にすごいとか面白いとかはありませんが、この普通な感じがグラスゴーのバンドの特色です。

普通なんだけど、不思議と味わい深いんですよね。

ボーカルはKleという人ですが、ダグラス・T・スチュワートを含めてこのバンドでこれまで歌ってきた人の中でも、歌がうまい部類に入るのではないでしょうか。

クセのない歌い方は、これもグラスゴー伝統です。

クセがない、普通である、全然ほめているように聞こえないかもしれません。

それなのに不思議と味わい深いところがあるのは、いい具合に力が抜けているせいかもしれません。

この曲はとてもポップで、ファンにとても人気の高い曲です。

このアルバムといえばこの曲という人気曲ですが、その人気の秘密は公式動画の魅力のせいもあります。

この動画の手作り感は、グラスゴーの音楽の魅力を説明する時に、最も最適な副教材です。

個人的にはこの曲はこの動画とセットで見ることによって、この曲を味わったことになると思っているぐらいです。

なんとも人の心をほっこりさせ、幸せな気分にさせてくれる動画ではないでしょうか。

この曲は単純に楽しめるポップスで、キム・フォーリーがこれまで手掛けてきた人のような、アクの強さみたいなものは感じられません。

ただ単純なギターポップとまた違った、奇妙な小曲がいくつか入っています。

キム・フォーリーを起用したのならば、そういう曲でこそ新しい魅力を打ち出さないといけないと思いますが、そういう実験的な曲にあまり魅力を感じません。

良い曲がたくさん入っているにも関わらず、アルバム全体としては少し散漫なところがあるようにも感じます。

私からはキム・フォーリーがこのアルバムで、どう貢献しているのかが見えてきません。

しかしこのような素直なポップな曲の軌道修正をせず、無理やり自分色を出さないというところに、海千山千の音楽業界を渡り歩いてきたキム・フォーリーの、懐の深さみたいなものを感じます。

再度アラン・マッギーの話とこのアルバムに漂う幸せな感じについて

次にアラン・マッギーの話に戻ります。

アラン・マッギーはクリエイション・レコーズの設立動機について、以下のように語っていたようです。

別にものすごい音楽ファンとしてレーベルをやったわけじゃないんだよ。ちゃんとした仕事に就きたくなかっただけなんだ。

【知りたい】オアシス、プライマル、マイブラ……クリエイション・レコーズの伝説を振り返る

マニアックな音楽ファンではないところからレーベルを始めた人です。

しかしアラン・マッギーにはある種の嗅覚みたいなものがあって、私はそれがすごい人だなと思っています。

オアシスもこの人が発見したのですからね。

嗅覚で勝負していた人ですが、1996年のこのアルバムの頃には、その嗅覚が少し鈍ってきていたのかもしれません。

このアルバムでも、その嗅覚を外した形です。

クリエイションは1990年代前半に財政難に陥って、1999年に倒産しています。

その後2018年に新レーベル、クリエイション23(Creation23)を始めたようです。

クリエイション・レコーズを始めた時の動機は、決してほめられたものではないと思いますが、もう彼は本物の音楽人です。

今の音楽に対する情熱は本物でしょう。

ぜひがんばってほしいものです。

アラン・マッギーやキム・フォーリーの話ばかりに偏りましたが、個性の強いこうした面々も、普通のポップスであろうとするこの曲を止められなかったのですね。

ちなみにダグラス・T・スチュワートは、前作の時に子供が生まれて、この時はまだ幸せいっぱいだったと思われます。

その幸せな気分が、この曲にも表れているように思います。

引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。


Theme Park

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