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Bobby Womack「(If You Don’t Want My Love) Give It Back」(アルバム:Communication)

「くどい男がようやく自分の魅力を活かす方法を確立した時期の傑作」

今回はボビー・ウーマック「ギブ・イット・バック」(Album『コミュニケーション』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:Bobby Womack
■アーティスト名カナ:ボビー・ウーマック
■曲名:(If You Don’t Want My Love) Give It Back
■曲名邦題:ギブ・イット・バック
■アルバム名:Communication
■アルバム名邦題:コミュニケーション
■動画リンク:Bobby Womack「(If You Don’t Want My Love) Give It Back」

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ボビー・ウーマック「ギブ・イット・バック」(アルバム:コミュニケーション)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

この人はサザン・ソウルとニュー・ソウル、どちらに分類しても良さそうな人です。

初期はどちらかというとガッツのあるサザン・ソウルでしたが、今回ご紹介するのは、ニュー・ソウル色が強まってきた時期の曲です。

この人は初期の頃、どういう方向でやっていきたいのか、いまひとつ焦点が絞りこまれていない感じがありました。

そのせいかこのアルバムの前は、セールス的にも苦戦していました。

Fly Me To The Moon 174位
My Prescription 記録なし
The Womack Live 188位

そしてこのアルバムが4作目です。

このアルバムは83位と、はじめてトップ100に入っています。

もしかしたらこの才能がありあまるこの人は、このアルバムで飛躍のチャンスをつかんでいなかったら、ずっと裏方のセッションギタリストとして終わっていた可能性があるのです。

さてきっかけとなったこのアルバムでは、どういう変化があったのでしょうか。

万能なこの人に欠けているもの

この人はギターも上手いし、良い曲を書くし、歌も表現力があります。加えてプロデューサーとしても、たいへん有能です。

しかしたった一つ欠けているものがあります。自分の売り方がうまくありません。

音楽を売ろうとする時には、音楽的な魅力だけでは充分ではない時があります。

いかれたアルバムでSFっぽい大なストーリーにメッセージ性を込めて演出したジョージ・クリントンなどは、そういう戦略にすぐれた人でしょう。

なにしろ「一つの音楽のグルーヴの下で一つの国としてまとまろう」ですからね。

ボビー・ウーマックは男性でいうと顔立ちが整っているのに、髪形やファッションセンスが微妙なせいで、せっかくのイケメンなのにそれを活かしていない人みたいなものです。

よく言われる雰囲気イケメンとは、自分がどう見られているのか分かっていて、その魅力を活かしている人ですよね。

この人はそこに欠けているような気がします。

それが初期に売れなかった原因なのかなと思います。

たとえばファーストアルバムの「Fly Me to the Moon」にも「What Is This」などのすばらしい名曲が含まれています。

しかし売れませんでした。

「Fly Me to the Moon」は、有名な美人歌手ジュリー・ロンドンがロマンティックに「私を月に連れて行って」と歌う大変有名な曲です。

ボビー・ウーマックのは、「Fly Me to the Moon」は、そのそのカバーではありませんが、その曲と同じタイトルを持ってきました。

しかもボビー・ウーマックはこういう人です。

こういうゴツい人に「私を月に連れて行って」みたいなロマンティックなタイトルが似合うはずもありません。

「んっ? おい、そこのお前、俺様をちょっくらそのトラックで月まで乗っけていけよ」という感じです。

更にセカンドアルバムは「My Prescription」というタイトルです。直訳すると「私の処方箋」です。

これも「俺様の処方箋」とでも表現した方が正確な気もします。

そもそもどういうことなのか、意味も分かりません。

3枚目は「The Womack Live」です。

まだ売れないのに自分の名前を冠したライブアルバムを出してどうするのかと、度々で申し訳ありませんが、これもつっこみたくなります。

どのアルバムもジャケットが良いともいえず、売れそうもない雰囲気が漂っています。

しかしこのアルバムはタイトルが「Communication」で、ジャケットも何か言いたそうな真摯な雰囲気を漂わせています。

ようやく方向が定まってきた感じです。

このアルバムがリリースされた1971年です。

このアルバムの前にマービン・ゲイの名作「ホワッツ・ゴーイン・オン」が発売されています。

おそらくその影響もあると思います。

このアルバムからは「お前、俺とじっくり話そうぜ」みたいな、兄貴的ポジションを獲得しています。

彼はこのアルバムの成功を受けて、次のアルバムからは「Understanding」「Facts of Life」と、たて続けに対話路線にシフトしています。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

まずイントロからしてかっこいいですね。

キザイア・ジョーンズ(Keziah Jones)を思わせるアコースティックギターのカッティングです。

そこに別のエレクトリック・ギターが加わります。

イントロからすぐにボーカルが始まります。

彼としては抑えめに歌っているのでしょうが、どこか温度の高さと濃厚さを漂わせているのが、サザン・ソウル出身のシンガーならではです。

歌の背後でイケメンなハモンドオルガンが鳴っています。

歌の背後でねちっこく絡むギターも最高です。

ボビー・ウーマックはこのアルバムを自分でプロデュースしていますが、やはりこの人の音楽的才能は間違いないと再確認させてくれます。

女性コーラスもスピリチュアルな香りがする、身もだえする使い方です。

しかしサビになると、ボーカルに熱を帯びてきます。

シャウトを織り交ぜて歌われているボーカルが、この曲の一番の聞きどころだと思います。

まさしく鳥肌ものです。

ドラムのクセのあるグルーブ感も、じっくり聞くと尋常ではありません。

演奏はバンド全体でガッツのある歌を過不足なく受け止めています。バックバンドを務めるのはマッスル・ショールズの手練れたちです。

このアルバムはシングルカットされた「That’s The Way I Feel About Cha」という曲も有名で、実際この曲と同等の大変すばらしい曲です。

リンクを貼っておきましょう。

Bobby Womack「That’s The Way I Feel About Cha」

このアルバムぐらいから、メロウな側面が出てきていますが、濃厚な歌と意外と相性がいいです。

「(If You Don’t Want My Love) Give It Back」は「Across 110th Street」というアルバムでも、スローバージョンでカバーされています。

私が考えるボビー・ウーマック像

職場に仕事は超絶できるけれど、少し話がくどい人はいないでしょうか。

私の中でボビー・ウーマックはそんな感じのイメージです。

これはこの人の過剰というか、言いたいことが常にあふれている感じがします。

実際いろいろな曲の中でも、たびたび語りが入っています。

今回ご紹介した「(If You Don’t Want My Love) Give It Back」という曲名も、「Give It Back」だけでいいのかもしれませんが、「(If You Don’t Want My Love)」を付け加えてしまうところが、実に彼らしいと思います。

この人は度々曲名をカッコで補足しています。このアルバム以降の1970年代の曲名だけ挙げておきましょう。

(If You Don’t Want My Love) Give It Back
If You Can’t Give Her Love (Give Her Up)
(If You Want My Love) Put Something Down On It
How Long (Has This Been Goin’ On)

上の2つの曲名を見るとそっくりですよね。

1つ目では「あなたが困っている時に俺は助けたよね。

でも俺の愛が欲しくなかったら返してよ」と歌っています。

2つ目では「(If You Don’t Want My Love) Give It Back」のアンサーソングかと思いきや、歌詞を読んでみると、同じ内容を別の角度から歌った感じの曲です。

今度は忠告する立場から「彼女に愛をあげられないのなら、彼女を手放して自由にしてやれよ」と歌う曲です。

ちょっとくどいかもしれませんね。

ただこの過剰さが、何かと話し合うべき問題が多かった当時の時代風潮と合致していましたし、彼のキャラ的にも合っていたように思います。

単に売り込み方が下手だったというだけで、この巨大な才能が埋もれてしまわなくて本当に良かったです。

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