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Charles Earland
「Will You Still Love Me Tomorrow」
(アルバム:Intensity)

「時代に取り残されそうになった男の意地を見せた名演」

ミュージシャンにとって、その時代にどれだけ迎合するかは、とても大きなテーマです。

その中でこの人は、時代に合わせて変化できた人です。

しかし彼はギリギリまで、慣れ親しんだジャズ・ファンクにこだわった演奏をしていました。

古き良きスタイルをやりきってから、心機一転新しい音楽に飛び込みました。

飛び込んだ先には、怪物スティーヴィー・ワンダーが切り開いた世界がありました。

私はこの曲に「古いスタイルをここでやりきってしまおう」という気合いみたいなものを感じます。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)

■アーティスト名:Charles Earland
■アーティスト名カナ:チャールズ・アーランド
■曲名:Will You Still Love Me Tomorrow
■曲名邦題:ウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥモロー
■アルバム名:Intensity
■アルバム名邦題:インテンシティ
■動画リンク:Charles Earland「Will You Still Love Me Tomorrow」

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チャールズ・アーランド「ウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥモロー」(アルバム:インテンシティ)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。

今回はオルガンジャズの曲をご紹介します。

この音楽のカテゴライズは、ジャズ・ファンク、ソウル・ジャズなど人によって異なるかもしれません。

ただこの人が今評価されているのは、ニューソウルやフュージョン寄りの曲です。

私も「リーヴィング・ディス・プラネット(Leaving This Planet)」の方を先に聞いていました。

後から「ブラック・トーク!(Black Talk)」などを聞いて、こんなコテコテのオルガンジャズをやっていたのかと驚きました。

しかしこれがなかなか悪くありません。

その頃の変化を時系列で整理してみましょう。

1969年 Black Talk! →コテコテのオルガンジャズ
1972年 Intensity  →コテコテのオルガンジャズ+メロウ度アップ
1973年 Leaving This Planet  →スティーヴィー・ワンダーの影響が顕著

1972年頃を境に、急に音楽が洗練されてきています。

そういう過渡期だったのですね。

つまり従来のオルガンジャズのスタイルが、少し古くさくなる予感が漂いはじめた境目の時代でした。

スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の突然変異

その音楽的変遷の境目が、この「Intensity」が発表された1972年です。

その頃に音楽界で大事件がありました。

それは怪物スティーヴィー・ワンダーの大化け、突然変異です。

1972年にスティーヴィーは2枚のアルバムを発表しています。

一応スティーヴィーの変化も、前後関係を時系列で整理しておきましょう。

1971年 Where I’m Coming From
1972年 Music of My Mind
1972年 Talking Book
1973年 Innervisions

ご存知の方は上の年表を見るとお分かりいただけると思いますが、1972年に大きなターニングポイントを迎えています。

いきなり音楽そのものが変質しています。

私は1972年に「心の詩(Music of My Mind)」に出た時、おそらく多くの人々が驚いたのではないでしょうか。

急にクールで複雑な音づくりになってきていますから。

そして同じ路線の「トーキング・ブック(Talking Book)」は、同年大ヒットしています。

更に翌年1973年には金字塔ともいえる「インナーヴィジョンズ(Innervisions)」で、その路線の頂点に達しています。

これらはサウンドの革新性だけでなく、実際にヒットも記録した恐るべき傑作群です。

当時のミュージシャンはみんな影響を受けていましたし、チャールズ・アーランドも例外ではありませんでした。

過渡期の試行錯誤

このアルバムには「ハッピー・コウズ・アイム・ゴーイン・ホーム(Happy ‘Cause I’m Goin’ Home)」みたいな、時代のはざまで揺れ動いているような曲もあります。

その曲もすばらしいので、リンクを張っておきましょう。

Charles Earland – Happy ‘Cause I’m Goin’ Home
※11分を超えますのでお時間のある時にどうぞ

この頃のチャールズ・アーランドの心境は、揺れ動いていたのでしょう。

コテコテのソウルジャズをやってきたけれど、このままではいけない気がする。

スティーヴィーが革新性とセールスを両立させた、とても刺激的な音楽をやってみせてくれた。自分もその方向でやってみたい。

試しに少し新しい音楽性も取り入れてみよう。そんな感じの心境だったかもしれません。

ただこの曲においては迷いは感じられません。

おそらく自分が新しい方向に向かおうとしている。しかしここで一旦やりきらなければ次にいけない。

そんな感じの気迫を感じます。

実際この曲のオリジナルは1960年にシュレルズ(The Shirells)のヒット曲です。

キャロル・キング(Carole King)とジェリー・ゴフィン(Gerry Goffin)の黄金コンビの手によるものです。

当時としても古い音楽の部類だったと思います。

彼は古い素材を古いスタイルで演奏することは、もうあまりないかもしれないと予感していたのかもしれません。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

この人のオルガンはカバー曲でも、原曲のメロディをあまり崩さない傾向があるように思います。

原曲のメロディ部分では、自分の余計な解釈をしないという職業的オルガニストです。

しかしこの曲の場合はそれが正解です。

実際素材の良さを活かしたメロディの歌わせ方は最高です。

しかし2:04ぐらいから、アドリブ演奏に入ります。

しかしこのアドリブはとても気合が入っています。この曲の聞きどころはここからです。

確かにもうすぐ時代に取り残されそうな演奏スタイルだろう。しかし演奏していて楽しいし熱くなるから、ここでがっつり演奏してやるよという感じの気合を感じます。

3:50からのロングトーンのところなんかは、きっとライブで一斉に歓声が上がる場面でしょう。

その後もこれでもかってぐらいロングトーンを立て続けに放っています。それから今度はどうだといわんばかりの速弾きです。

聞いていると身体が熱くなります。

思わず新しいサウンドじゃなく、これで充分ですと言いたくなります。

私は一旦ここで古い音楽でできることをやりきったことが、次のキャリアに繋がったのだと思います。

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