「パワーポップ好きの間で大切に聞き継がれてきた、小確幸を感じさせてくれる名曲」
今回はパワーポップの本流ともいえる曲をご紹介します。
彼らはそれほど多くの人に知られているわけではありません。
しかし一部の人たちには熱狂的に評価されているバンドです。
試しにAmazonのレビューを見ると、日本人1名、その他の国の人3名のレビューが見つかりました。
その全員が5つ星を与えています。
その事実が示す通り、このバンドを知っている人には、マストと評価されているのです。
今回はその魅力に迫ってみたいと思います。
本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:Cherry Twister
■アーティスト名カナ:チェリー・ツイスター
■曲名:Maryann
■曲名邦題:マリアン
■アルバム名:At Home with by Cherry Twister
■アルバム名邦題:アット・ホーム・ウィズ・チェリー・ツイスター
■動画リンク:Cherry Twister「Maryann」
╂ 名曲レビューでは四つ星半以上のとびっきりの名曲だけをおすすめしています!╂
チェリー・ツイスター「マリアン」(アルバム:アット・ホーム・ウィズ・チェリー・ツイスター)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
今回はパワーポップ好きの間で、大切に聞き継がれているバンドをご紹介します。
レーベルは日本ではエアーメイル(Air Mail)、海外ではノットレイム(Not Lame)です。
パワーポップ好きはこれらのレーベル名だけで、ご飯を山盛りいけそうではないでしょうか。
このバンドは有名なバッド・フィンガー(Badfinger)のトリビュートアルバムに参加していますから、そちらでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
「カム・アンド・ゲット・イット~バットフィンガー・トリビュート(Come & Get It: a tribute to Badfinger)」というアルバムで、「イット・ハッド・トゥ・ビー(It Had to Be)」をカバーしています。
今回ご紹介するアルバムは、彼らの2作目です。
おそらくはラストアルバムということになると思います。
パワーポップには線が細い系と太い系がありますが、これは線が細い系です。
つまり激しさとか押しとか勢いではなく、曲やセンスの良さで勝負してくるタイプです。
バンドの経歴
このバンドの経歴をご紹介をしておきましょう。
このバンドはアメリカのペンシルバニア出身で、1993年スティーヴ・ワード(Steve Ward)を中心に結成されています。
ファーストアルバムの頃は、ほぼ彼の宅録プロジェクトみたいなものでした。
しかし次第にバンドの形態に移行し、1999年セカンドアルバムを発表します。それが今回ご紹介するアルバムです。
バンドのメンバーは以下の通りです。
Steve Ward:ギター担当
Ross Sackler:ドラム担当
Michael Giblin:ベース担当
バンド名は、あのデビッド・リンチの名作「ツイン・ピークス」から取られています。
スティーヴによると、彼らの音楽はティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub)やビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)から大きな影響を受けているそうです。
まあ音楽によく表れていますね。
彼らは1999年にリリースされたこのセカンドアルバムが、一部パワーポップ好きの間で評判となり、2001年日本でもリリースされています。
この曲のどこがすばらしいか
さて曲を聞いていきましょう。
まず問題は(いや問題はありませんが)このアルバムにはいい曲が多すぎるということです。
実はこの曲と同じぐらいの曲がごろごろしていて、相当思い切らないとこの曲に絞り込めませんでした。
ボーカルは甘いというより中性的です。
ほとんどの部分をコーラスで歌っていますが、息がぴったりすぎないでしょうか。
パワーポップの華であるギターもいい仕事していますね。
2:16ぐらいと最後の方で、少しオラついたフレーズが飛び出るところがあります。
他の曲では比較的バリバリ弾いている曲があるので、この曲でも活躍する機会をうかがっていたのかもしれません。
最後は古いロックが好きな人であれば、思わずニヤリとしてしまう終わり方をしています。
全体に上品な甘さがあって、とてもまとまりが良い曲だと思います。
その後の活動について
このバンドは一部のパワーポップ好きだけの存在にしていては、もったいないと思います。
確かに中心人物のスティーブ・ワード(Steve Ward)のソロも、それなりに良いと思います。
しかしこのアルバムには及びません。
2011年にはメンバーが再会して、ライブをやったのだそうです。
この曲での息がぴったり合っている様子を思い出すにつけ、またアルバムを出してくれないかと期待してしまいます。
このアルバムでは、バンドのマジックが働いていたように感じます。
彼らの音楽は革新性もなく、音楽の歴史に名前が刻まれるようなものではありません。
しかし上品な甘さを持つ洋菓子のような、小確幸、小さくとも確かな幸せをもたらしてくれます。
ぜひご堪能ください。