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GTS「Never Knew Love Like This Before」(アルバム:Cover Song Album Greatest Cover)

「新宿ブギーボーイや西麻布ピカソでDJをしていた人たちが集まって制作したハウスミュージック」

今回はGTS「ネヴァー・ニュー・ラヴ・ライク・ディス・ビフォア(燃える恋心)」(Album『カヴァー・ソング・アルバム”グレイテスト・カヴァー”』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)

■アーティスト名:GTS
■アーティスト名カナ:ジーティーエス
■曲名:ネヴァー・ニュー・ラヴ・ライク・ディス・ビフォア(燃える恋心)
■曲名邦題:Never Knew Love Like This Before
■アルバム名:カヴァー・ソング・アルバム”グレイテスト・カヴァー”
■アルバム名邦題:Cover Song Album Greatest Cover
■動画リンク:GTS「Never Knew Love Like This Before」

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GTS「ネヴァー・ニュー・ラヴ・ライク・ディス・ビフォア(燃える恋心)」(アルバム:カヴァー・ソング・アルバム”グレイテスト・カヴァー”)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

今回はエイベックス トラックス(avex trax)系のハウス・ミュージックをご紹介いたします。

ストイックな音楽ファンの方は、今回はスルーしようと思った方もいらっしゃるかもしれません。

しかしちょっと待ってください。

純粋に良い音楽を聞きたい方ならば、こういう曲を避けて通ってはいけません。

音楽道はとても険しく、このような世俗にまみれたような曲の中にも、また音楽の真実があるものです。

というインチキ坊主みたいなことを書いてしまいましたが、まずは試しに聞いてみていただければと思っています。

原曲はご存知ステファニー・ミルズ(Stephanie Mills)で、ソウル・クラシックになっている有名な曲ですから、メロディは聞いたことがある人も多いのではないかと思います。

おそらくこの曲はそのオリジナルに負けていません。

というよりも別物と考えた方がいいかもしれません。この曲はリズムが跳ねていて、原曲のカタめのストイックなリズムとはかなり違うからです。

この享楽的なリズムが、この曲のポテンシャルを引き出している面があります。

この曲はもしかしたら、ストイックに音楽を聞いてきた人の盲点を突く曲かもしれません。

もし外してしまったら申し訳ありませんが、だまされたと思って聞いてみていただければと思います。

西麻布の伝説のクラブ「ピカソ」について

GTSはハウスユニットで、メンバー3名の頭文字をとって名付けられています。

DJ GEE(浅川真次)
TURBO
SATOSHI HIDAKA(日高智)

GTSという名前の由来は、上記にもあるメンバーの頭文字と「ソウルをグルーブする」という意味の「グルーヴ・ザット・ソウル(Groove That Soul)」より。

ウィキペディア GTS

DJ GEEさんはTRF「寒い夜だから…」のリミックスを手掛けていたりして、エイベックス内部で活躍していた人ですが、特筆すべきはこの人はあの伝説のクラブ「ピカソ」出身のDJだということです。

「ピカソ」というクラブは、ロックファンでも聞いたことがあるかもしれません。

私も何度か聞いたことがある名前で、ニューウェーヴの曲が大音量でかかっていた伝説のクラブのようです。

当時PIL(パブリック・イメージ・リミテッド)などの音楽が大好きだった川辺ヒロシさんも、よく通っていたらしいです。

少し長くなりますが川辺さんのコメントを引用しておきましょう。

19の時に(西麻布の交差点近くにクラブ)ピカソができたんですよ。

そこにも衝撃を受けて。もうずっと行ってましたね。

もう狭くて、いつもパンパンで、音も悪いんですけど、でもかかってる曲がもう一曲もダサイのがないっていう(中略)

いまだったらユーロとかディスコとかも楽しめるんですけど(笑)、当時はもっととがったのをくれって感じだったんで、ニューウェイヴがかかると踊って、それまでは待ちって感じだったのが、ピカソでは全部それっていう。

あとは、そこで出始めのラップとかダンスホール・レゲエとかも混ぜてかけてて、『何これ!? このドラムと声だけの音楽、何!?』みたいな。

だって最初に聴いたのがクラブだから、全身包まれるように聴いてるわけじゃないですか。あんなの爆音で聴かないと意味ないじゃないですか。

あれなんかほんとに、何なんだこれは!?って感じですよね。もうあり得ないと思って

川辺ヒロシ – THE POLICE Column

このコメントを読んで、私も行ってみたかったなと思ってしまいました。


テクノとレイヴカルチャーなどのコアな背景

DJ GEEさんはテクノユニットのRAVEMANのメンバーとして活動していたことでも有名です。DJ GEEさんは昔から歌ものをやっていたイメージのある人です。

TURBOさんはこのユニットでは編曲を担当していたそうです。

TURBOさんはDJ GEEさんといくつか同じクラブでプレイしていたそうです。またこの人もエイベックスのアーティストを手掛けています。

そして後で加わったSATOSHI HIDAKA(日高智)さんは、MAXIMIZOR/RANDOMIZER名義で活動していたテクノ系のDJです。

ただこの人は元々Pファンクとかエレクトリックな手触りのあるソウルミュージックにこだわりのある人のようです。

今回ご紹介した曲自体はハウスなのに、テクノ出身の人ばかりだと思う人ばかりだと思う人もいるかもしれません。

私はハウスとかテクノは専門外ですが、やっている人自身、あまりそういう分類を気にしていないのかなと感じることがあります。

私はおおまかにハウスよりも、テクノの方が早い曲が多いなというイメージですが、速度で分類できるはずもありません。

素人的な意見で申し訳ありませんが、ざっくりと有機的でソウルっぽいのがハウス、無機質で即物的なのがテクノという感じで考えています。

この3人は初期エイベックスに活躍した人達ですが、初期のエイベックスは、コアなダンスミュージック・フリークが集まってきていました。

先程RAVEMANというユニット名をご紹介しましたが、RAVEというのは野外のクラブベントで、箱の客層よりもコアな人達が集まってくる場所でした。

ちなみに初期のエイベックスは、「ザ・ファット・オブ・ザ・ランド(The Fat of the Land)」で有名なプロディジー(The Prodigy)を日本に紹介したレーベルです。

プロディジーもレイヴカルチャーから発生したグループです。

つまり初期のエイベックスでは、ダンスミュージックが好きな人達が集まってきて、様々なことが起こっていたのですね。

このユニットもそういうコアなカルチャーから出てきた人たちです。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

まずこの曲はイントロの4つ打ちで勝負ありです。そこにハンドクラッピングが入って引き締めてきます。

原曲に慣れている人はリズムが目立ちすぎると思うかもしれません。

ただボリュームを上げて、バウンスするリズムとうねるベースラインが作り出す享楽的なサウンドに身を任せていると、次第に気分が高揚してきます。

曲は少しバブル期の楽曲みたいな、ドラマティックで少しクサいところがある楽曲ですが、私はこの種のクサさも割と好きです。

この恥ずかしかっこよさをもっと煮つめたら、こんな感じになるかもしれません。

日本高校ダンス部選手権・ビッククラスで大阪府立登美丘が準優勝

私のように何度も視聴してしまわないよう、用法用量を守ってご視聴ください。

さて、気を取り直してこちらの曲の話に戻ります。

ボーカルはキマラ・ラヴレース(Kimura Lovelace)という人です。

自分色を出しすぎず、うまさをアピールしすぎず、曲の持ち味を引き出す職人的ハウスシンガーです。

ハウスミュージックシーンには、こういう確かな実力を持つすばらしいシンガーが沢山いました。

ハウスの歌姫ではロレッタ・ハロウェイ(Loleatta Holloway)なども有名ですが、はまったらすごいものの、サウンドのパーツに収まり切らないところがあるので、こういう職人的に歌える人がいると重宝するものです。

ロレッタほどコッテリしすぎず、ダイアナ・ロスほど甘くなりすぎない、いい塩梅のボーカルを聞かせてくれます。

このアルバムはカバー曲ばかりなので、オリジナル曲を好むストイックな音楽ファンは、なおさら敬遠したい気持ちになるのもわからないでもありません。

しかしこの曲は表面的な手触り以上に、きちんとつくりこんできているように感じられます。

人でも一見チャラい外見をしても、めちゃくちゃ真面目でいい奴っていますよね。そのギャップによって、むしろ好感度が上がるみたいなことってないでしょうか。

この曲なんかはそういう感じかなと思います。

引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。


カヴァー・ソング・アルバム”グレイテスト・カヴァー”

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