「スペインのギターポップシーンのレベルの高さを示す1曲」
今回はハッピー・ルーザーズ「ハッピー・ルーザーズ」(Album『アップル・テイスト』)をご紹介します。
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■アーティスト名:The Happy Losers
■アーティスト名カナ:ハッピー・ルーザーズ
■曲名:The Happy Losers
■曲名邦題:ハッピー・ルーザーズ
■アルバム名:Apple Taste
■アルバム名邦題:アップル・テイスト
■動画リンク:The Happy Losers「The Happy Losers」
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ハッピー・ルーザーズ「ハッピー・ルーザーズ」(アルバム:アップル・テイスト)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
今回は気軽に聞けるギターポップの曲をご紹介します。
ご紹介する曲が名曲すぎると、書く方も気合が入りすぎてしまうことがあります。
その点今回はもっと気楽にご紹介できます。ご紹介したい背後の物語もありませんし、味わう上で知っておくべきこともありません。
頭を空っぽにして気楽に聞けるバンドです。こういう気軽に聞けるバンドをいくつか押さえておくことが、音楽を楽しむコツかもしれません。
彼らはスペイン出身のバンドです。
アルバム名を見て、ふとスペインはりんごの産地として有名だったかなと思って調べてみましたが、スペインは2017年のデータで世界22位でした。
ちなみに日本は16位でした。
日本には青森があるというのに、意外と順位が高くありませんね。
まあちょっと悪ノリで調べてみましたが、青りんごがパイプ椅子の上で転がっているジャケットも、とてもいい感じだと思います。
あと情報が少しまぎわらしいので、少し整理しておきましょう。
バンド名 :The Happy Losers
曲名 :The Happy Losers
アルバム名:Apple Taste
つまりバンド名と曲名が同じというわけです。
日本語では、バンド名と曲名が「幸せな敗北者」で、アルバム名が「りんご味」です。
このバンドは以前ご紹介したレッド・スリーピング・ビューティなどにも、似た持ち味を持っています。
Red Sleeping Beauty 「The Things I’d Say」 (アルバム:Soundtrack)
レッド・スリーピング・ビューティはスウェーデンのバンドですが、このバンドを含めてスペインのギターポップのバンドは、スウェーデンのバンドに持ち味が近いと感じることがあります。
ということは日本人受けしやすいということですよね。
渋谷系あたりを好む人は、聞いてみていただければと思います。
バンドの経歴と今の状況について
このアルバムは1999年リリースの2作目です。
結成は1993年と意外に古いですが、1997年に「Make’em Laugh」でデビューして、これまでに4枚のアルバムを残しています。
ただ2004年の「Bubbles」を最後にアルバムが出ていません。
彼らのオフィシャルサイトを見ても、長年メンテナンスされていない感じでしたので、このバンドとしてはここまでということかもしれません。
ただこのバンドのボーカルToni Saenzは、このバンドの持ち味を引き継いだLukah Booというバンド名義で活動を継続しています。
もしこのバンドを気にったら、そちらも追いかけてみてはいかがでしょうか。
レーベルはロック・インディアナ(Rock Indiana Records)で、ギターポップ界隈では、良質なギターポップやパワーポップのバンドをリリースしていることで知られているレーベルです。
私はクッキーシーン(COOKIE SCENE)という伊藤英嗣さんの雑誌で知ったかもしれません。
私が持っているのは輸入盤で、掲載されている情報がスペイン語ばかりで読めません。
そこでインターネットで情報を集めてみましたが、「スペインのTeenage Fanclub」といううたい文句で売られていたという情報を見つけました。
ただ私の感覚ではちょっと違うかなと思います。
この曲はもっと青春疾走系です。もう少し弾けたところがあって、青くさくて、キラキラ度が高いです。
そもそもアルバムタイトルからして「りんご味」ですからね。
メロディメイカーとして実力は確かで、このアルバムは全編に渡って今回ご紹介する曲と大差ないレベルの曲が揃っています。
このアルバムは現在廃盤ですが、まだ安く売っています。それがなくなったら手に入りにくくなります。
有名なバンドと違って、こういうバンドのCDはいつ手に入らなくなるか分かりません。
しかしそれは、私みたいな音楽ジャンキー特有の発想かもしれませんが。
この曲のどこがすばらしいのか
さて曲を聞いていきましょう。
出だしのセリフは、私のリスニング力でははっきりと聞き取ることができませんでしたが、どうやら「I hate guitar pop」と言っているようです。
まあ明らかに典型的なギターポップなのですから、何を言わんかですね。小さく笑いを取りに行っています。
まあバンド名から分かる通り、少しひねったことを言いたい人たちなんでしょう。
サウンドはアップテンポの典型的なインディポップです。セリフの後に飛び跳ねるように入るベースがすばらしいですね。
しかしベースもその後はそれほど活躍していませんし、ドラムも目立ちません。
ギターが伸びやかに演奏している以外は特段、演奏で触れるべきところもありません。
ただ全編に渡ってリードしているギターはかなり心地よいです。曲の中盤のギターソロはなかなかではないでしょうか。
私はこのギターソロが、この曲の聞きどころだと思います。
ボーカルは1人だと弱いと思っているのでしょうか。基本ずっとコーラスで歌われています。
全体にとても分かりやすい曲だと思います。
ただこの曲には他の多くのインディポップと同じ弱点があります。
ポップでキャッチーだけど、売れるにはどこか足りないように感じられるという問題です。
それはある種のアピールの強さだったり、そのの時代に合わせた曲づくりだったりするわけですが、それは音楽の質とは関係ありません。
ただそれゆえに良いと感じる私のような人もいて、無防備無欲な感じが逆に好ましかったりします。
インディーズの音楽を聞く楽しみは、そういう良質な音楽を見つけるとこにあると思います。
そういう意味ではこの頃のスペインのギターポップシーンは、手探りで探しても報われやすい幸せな時代でした。
私はCDデビューすらしていない、Youtubeだけみたいなアマチュアバンドでも、ウォッチしているバンドがあります。
私も発掘しきれていませんが、スペインの音楽シーンには他にもまだまだ良いバンドがあります。
メジャーな音楽ではなかなか見つからない、自分にとってなじむ音楽を、インディーズの音楽の中から見つけてみてはいかがでしょうか。
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