「生命の喜びを表現した涅槃のトリップミュージック」
今回はハルモニア「デラックス」(Album『デラックス(太陽賛歌)』)をご紹介します。
╂ 本日のおすすめ!(Today’s Selection) ╂
■アーティスト名:Harmonia
■アーティスト名カナ:ハルモニア
■曲名:De Luxe (Immer Wieder)
■曲名邦題:デラックス
■アルバム名:De Luxe
■アルバム名邦題:デラックス(太陽賛歌)
■動画リンク:Harmonia「De Luxe (Immer Wieder)」
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ハルモニア「デラックス」(アルバム:デラックス(太陽賛歌))ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
このバンドはジャーマン・プログレのスーパーバンドです。なにせメンバー豪華です。
結成時のメンバーは以下の通りです。
ノイ!(NEU!)出身者
・ミヒャエル・ローター(Michael Rother)
クラスター(Cluster)出身者
・ディーター・メビウス(Dieter Moebius)
・ハンス・ヨアヒム・ローデリウス(Hans-Joachim Roedelius)
つまりノイ!とクラスターのメンバーで結成されたグループです。
それぞれのバンドは解散していませんので、課外活動みたいな感じなんでしょう。
このアルバムは1975年に発売された2作目です。
ここからは更にドラムにグルグル(Guru Guru)のマニ・ノイマイアー(Mani Neumeier)も加わって、更にジャーマン・プログレ・オールスターズとでもいえそうな布陣になってきました。
しかし忘れてはいけない人がもう1人います。プロデューサーのコニー・プランク(Conny Plank)です。
ジャーマン・プログレの中でも上記の人たちの音楽が私のど真ん中で、メンバーのソロ活動みたいなものも含めて多数所有して聞き返しています。
スーパーバンドでは個々の実力がそのまま反映されず消化不良を起こしているケースもあります。
このバンドはそれぞれの出身母体の特徴が、割とそのまま音楽に反映されています。
おそらくそれはコニー・プランクの手腕が大きいのではないかと思います。
大まかにいえば、反復やギターの音はノイ!で、全体に漂うオーガニックなところはクラスターぽいなと思います。
このアルバムは前作に比べて自然志向というか、オーガニックなサウンドへと変化しているのが特徴です。
もしボーカルが入っていなかったら、NHKの自然のドキュメンタリー番組にBGMで使われそうです。
バンド名である「ハルモニア」は「調和」という意味ですから、元々そういう志向を持っていたのが、セカンドアルバムで表面化してきたのかもしれません。
この曲のどこがすばらしいのか
さて曲を聞いていきましょう。
出だしはスペイシーな音から始まり、その後たそがれた感じで始まりますが、少しするとシンセが心地よく浮遊感のあるリズムを刻み始めます。
ボーカルはYMO風のあえて個性を消したコーラスです。
あくまで主役はサウンドそのもので、ボーカルはサウンドのアクセントみたいな感じだと思います。
この曲の大きなポイントはメビウスとローデリウスによるシンセで、絡み合いながら全体としては少しだけアンビニエント風に進行していきます。
喜怒哀楽にひもづく音楽ではないので、抽象画みたいで分かりにくいと思う人がいるかもしれません。
確かに楽しいとか悲しいとか、そういう音楽ではありません。徹頭徹尾、感覚的な音楽です。
サビなしオチなしで、決してキャッチーな曲とは言えません。
ただイビサ島ではど真ん中であろうこの音楽は、サウンドに身を任せていると不思議と高揚してきます。
高揚するアンビニエントと言ったら少し矛盾するような言葉となりますが、確かにそう表現したくなる曲です。
彼らが表現したいものは何か
歌詞は上がったり下がったりとか、十字架が重いとか軽いとかいう感じの、よくわからない呪文みたいな内容です。
また曲名は「De Luxe (Immer Wieder)」ですが、「Immer Wieder」とはドイツ語で「何度も何度も」という意味です。
まあこちらもよく分かりません。
太陽が何度も昇っては沈むイメージなんでしょうか。
少し整理しましょう。
・ジャケット :空間を照らして輝く太陽
・バンド名直訳 :調和
・曲名直訳 :ぜいたくな(何度も何度も)
・アルバム名直訳:ぜいたくな
なんとなく太陽に象徴される、生命や自然の喜びみたいなものを表現したいのかなという気もします。
もしくは、それほど意味を考える必要はないかもしれません。
答えは音楽そのものにあって、ただ音に身を任せていればなんとなく心地よい気分になります。
私はそんな風にしてよく分からないままジャーマンプログレを聞いて、どんどんはまっていきました。
なにやら、あやしい宗教をお勧めしているような気もしてきましたが、確かに抹香の香り、そしてスピリチュアルな雰囲気が満載の音楽ではあります。
開き直って「涅槃のトリップミュージック」とでも呼ばせていただきたい音楽です。
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