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The Joneses「(If I Could Have) Your Love for a Song」「Lies」(アルバム:The Joneses)

「ケブ・ダージによって再評価されたフィリーソウルの名グループ」

今回はザ・ジョーンジズ 「(イフ・アイ・クッド・ハヴ) ユア・ラヴ・フォー・ア・ソング」「ライズ」(Album『ザ・ジョーンジズ 』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:The Joneses
■アーティスト名カナ:ザ・ジョーンジズ
■曲名:(If I Could Have) Your Love for a Song、Lies
■曲名邦題:(イフ・アイ・クッド・ハヴ) ユア・ラヴ・フォー・ア・ソング、ライズ
■アルバム名:アーティスト名と同じ
■アルバム名邦題:アーティスト名カナと同じ
■動画リンク:「(If I Could Have) Your Love for a Song」「Lies」

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ザ・ジョーンジズ「(イフ・アイ・クッド・ハヴ) ユア・ラヴ」「ライズ」(アルバム:ザ・ジョーンジズ)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

今回はフィリーソウルから選曲しました。

このグループはフリーソウルのコンピレーションにも取り上げられたことがあるので、今ではそれほどマイナーな存在ではありません。

ただこのバンドは日本語、英語共にウィキペディアはありません。

私が見つけられなかっただけかもしれませんが、バンド名などあれこれ工夫して検索しても、見つけられませんでした。

ウィキペディアでは 南カリフォルニアのロックバンドの方がヒットしますが、もちろん違うバンドです。

フリーソウルのコンピレーションで知った人は、そんなマイナーなグループだったのと思うかもしれません。

フリーソウルで取り上げられたことによって、B級的な扱いをされていたこのグループが知られるようになったのは、大変喜ばしいことです。

ケブ・ダージ(Keb Darge)と日本のソウルファンについて

ただフリーソウルで紹介されるまでには、伏線ありました。

フリーソウルで取り上げられる前に、世界最高のノーザンソウルDJと呼ばれるケブ・ダージが、このグループ曲を頻繁にクラブでかけていて、彼が編集したノーザンソウルのコンピにも入っています。

ケブ・ダージがお気に入りの曲はこれです。

The Joneses「Summer Groove(Movin’ On)」

このギターのカッティングは、完全にイギリス人好みですね。

きっとポール・ウェラー(Paul Weller)あたりも、イチコロではないでしょうか。

こちらの曲をメインに取り上げても良かったぐらいです。

ケブ・ダージの活躍しているイギリスは、日本と並ぶノーザンソウルの発掘に熱心な国です。

一枚のマイナーなノーザンソウルのシングルが市場に出てきた時、日本とイギリスのコレクターが競って、値段が釣りあがることがよくあるそうです。

イギリスという国は、自国らしさにこだわる一方で、黒人音楽に対する受け入れ方に見られるように、良い音楽に対して懐が深いところがあります。

フリーソウルのコンピに入る前には既に、ケブ・ダージが若い層に広めていたというわけです。

しかし鈴木啓志さんによると、このバンドは日本でもリアルタイムで一部のソウル好きには熱心に聞かれていたらしいです。

一般的な知名度はほとんどなかったようです。

このバンドの「シュガー・パイ・ガイ(Sugar Pie Guy)」という曲が、1974年のソウルチャートで10位を記録していて注目を集めていたようです。

このアルバムは1977年のセカンドアルバムです。

昔ながらのソウルファンからは「虫眼鏡のジョーンジズ」「ジョーンジズのエピック盤」とか「シグマスタジオのジョーンジズ」などと呼ばれています。

ソウルバーなどで年配のソウルファンに言えば、どの言い方でも伝わるでしょう。逆に「ジョーンジズのジョーンジズ」と言うと、ええと何だっけという顔をされたりします。

ちなみにフリーソウルで人気の「キーピン・アップ・ウィズ・ジョーンジズ(Keepin’ Up With The Joneses)」は「ジョーンジズのマーキュリー盤」と呼ばれています。

そういう通な言い方の背後には、日本のソウルファンがこのグループを大切にしてきた歴史があります。

私も後追いで聞いたにすぎないのに、少し通ぶってみました。

さてデータにも触れておきましょう。

このバンドは1970年に結成後、めまぐるしくメンバーチェンジを繰り返しています。

ちなみに「シュガー・パイ・ガイ」が小ヒットを記録して浮かれた一部のメンバーが、ステージをすっぽかすなど素行面で問題を起こしたんだそうです。

そこで3人をクビにしてオーディションをして、新たなメンバーで仕切りなおしたのがこのアルバムです。

前作とメンバーはかなり違いますが、リーダーのグレン・ドーシー(Glenn Dorsey)が残っています。

音楽的にはマイナーチェンジぐらいで済んでいます。

プロデュースはボビー・イーライ(Bobby Eli)で、この人はフィラデルフィア・ソウルのハウスバンドであるMFSBで、ギターを担当していた人です。


この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

まず「(イフ・アイ・クッド・ハヴ) ユア・ラヴ・フォー・ア・ソング」は、イントロのすばらしさを味わう曲です。

シェリル・リンの「ガット・トゥー・ビー・リアル(Got To Be Real)」に少し似たところがあるイントロですが、録音はこちらが先です。

まずつっかかるようなドラムから始まっています。

その後から「ガット・トゥー・ビー・リアル」っぽいリズムになり、そこに重なる女性コーラスとストリングスが最高すぎます。

これまで何度か取り上げたように、フィリーソウルの特徴はストリングスです。

この曲でも堪能できます。

歌は新しく加入したジミー・リチャードソン(Jimmy Richardson)で、クセの少ないテナータイプのシンガーです。

ヤングソウルという感じでしょうか。

私はイントロと並ぶこの曲の聞きどころは、歌の背後でメロウに鳴り響くギターだと思います。

この曲では一瞬ですが、例えば52秒のところなんかは、私的にキラーです。

その後1:04ぐらいから入る女性コーラスもいいですね。

このギターの音色や女性コーラスは、山下達郎や大貫妙子などが在籍していたあのSUGAR BABEあたりを彷彿とさせます。

特に女性コーラスなんかはそっくりな箇所があります。

確かにこのバンドは、いかにも山下達郎の養分になっていそうな感じではあります。

このアルバムが出た時、山下達郎は24歳ぐらいです。

山下達郎ならば、この曲などは当たり前のようにチェックしていたのではないでしょうか。

きっとケブ・ダージがプッシュする前、このバンドを大切に聞いてきた日本人の中に、山下達郎も含まれていただろうことは想像に難くありません。

他にはベースラインが秀逸なので、ヘッドホンで聞くのがおすすめの曲です。

「ライズ」もイントロでは負けていません。

イントロからボリュームのある「パパパパッ」というコーラスで、ひと盛り上がりをつくってくれています。

Discogsにも情報がありませんでしたが、動画を見るとこの曲はシングルカットされているようですね。

確かにとてもキャッチーなフィリー・ダンサーです。

もう少しでプレディスコっぽくなる、一歩手前の感じがたまりません。

この曲でもジミー・リチャードソンのボーカルが絶好調です。

このバンドには他にバリントンのハロルド・テイラー(Harold Taylor)という昔から在籍しているボーカルもいて、そちらの曲も最高です。

セールスについて

ただこのアルバムは売れなかったのですね。だからウィキペディアもつくられていません。

このアルバムは今から聞くと、なんで売れなかったのか分かりませんね。

こういう曲で当時大ヒットした曲が沢山あるはずです。

ましてや当時飛ぶ鳥を落とす勢いのフィラデルフィア・ソウル産ですからね。注目もされやすいと思います。

このアルバムからは「フー・ラヴズ・ユー(Who Loves You)」「イン・ラブ・アゲイン(In Love Again)」などもシングルカットされています。

それらの曲も今回ご紹介した曲と同等のすばらしい曲ですが、アルバム同様ヒットはしませんでした。

こうして聞いていても良い出来だし、長い間マイナーな存在となっていたことが信じられません。

たまたま売れなかっただけという気もします。

こういう売れなかった理由が分からない曲は、他にも沢山あります。

この人たちはたまたま再評価されて良かったと思いますが、再評価されていない同等のレベルの人たちも沢山います。

私がこのブログで一番やりたいのは音楽を聞く裾野を広げることです。

二番目にケブ・ダージのようにとはいきませんが、よく知られていない人や曲に光を当てることだと思っています。

それらの曲をご紹介する中で、その人なりの「無人島の1曲」を見つけて頂ければと思っています。

これからも宜しくお願い致します。

引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。


Joneses: Expanded Edition , from UK]

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