「ゴスペルやフォークが隠し味になっているピアノトリオの傑作」
今回はキース・ジャレット「マイ・バック・ページズ」(Album『サムホエア・ビフォー』)をご紹介します。
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■アーティスト名:Keith Jarrett
■アーティスト名カナ:キース・ジャレット
■曲名:My Back Pages
■曲名邦題:マイ・バック・ページズ
■アルバム名:Somewhere Before
■アルバム名邦題:サムホエア・ビフォー
■動画リンク:Keith Jarrett「My Back Pages」
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キース・ジャレット「マイ・バック・ページズ」(アルバム:サムホエア・ビフォー)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
この曲はボブ・ディラン(Bob Dylan)のカバー曲です。
原曲がボブ・ディランのどのアルバムに入っているかご存知でしょうか。
答えは「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン(Another Side Of Bob Dylan)」です。
私はすぐに出てきませんでした。
そのアルバムは持っているのですが、あまり聞いていないのですね。
その代わりに思い出したのはバーズ(The Byrds)の「昨日より若く(Younger Than Yesterday)」に入っているバージョンです。
バーズでも1、2を争うぐらい好きなアルバムですから、私にとってはそちらの方が馴染みがあります。
しかしこの曲に関する限りそれよりも更に好きなのは、このキース・ジャレットのこのライブ演奏のバージョンです。
今回ご紹介するにあたり調べたところ、キースはバーズのバージョンを参考にして演奏されたようです。
ピアノトリオによる演奏で、ベースはチャーリー・ヘイデン(Charlie Haden)、ドラムはポール・モチアン(Paul Motian)といずれ劣らぬ強者です。
キース・ジャレットは不思議なジャズ・ピアニストで、ジャズピアニストの中でもあまり黒さは感じません。
ただ時々ゴスペルとかフォークの要素を感じさせることがあります。
チャーリー・ヘイデンも似たタイプかもしれません。
イントロの耽美だけど重苦しいベースラインから、不意に立ち上るピアノは最初から感極まっているような印象を受けます。
ドラムのポール・モチアンはテーマが終ると少し風変わりな演奏をしていますが、この人も普通のジャズという演奏ではありません。
リズムをキープするというよりも、触発されて鳴り響くタイプのドラムでしょうね。
ベースはワンパターンだけどいつも聞きほれてしまう、私の大好きなチャーリー・ヘイデンです。
ソロで少し不穏な音を出している以外は、いつも通りとてもいい演奏をしています。
肝心のキースのピアノは歌心が爆発してます。
こんなシンプルなフレーズをここまでしっかり聞かせるなんて、尋常な表現力ではありません。
私はウィンダム・ヒル(Windham Hill Records)にも好きなアルバムがありますが、そうしたアーティストの上位互換は俺だといわんばかりの貫禄を見せつけてくれます。
最後に時系列で整理をすると、ボブ・ディランの原曲が1964年、バーズのカバーが1967年、キース・ジャレットのカバーが1969年とこの曲は5年ぐらいの間に音楽界を3回震撼させたのですね。
当時キース・ジャレットは24歳でした。この後に彼は更に自由奔放なピアノ演奏を繰り広げていきます。
この曲はジャズでもあるけれど、フォークというか大地の香りがする音楽みたいな感じです。
最後に「My Back Pages」というタイトルと響き合うノスタルジックなジャケットも、とてもいい感じではないでしょうか。
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