「内気な人が素通りできない木漏れ日フォークの地味な名曲」
今回はランバート&ナッティカム「モーニング」(Album『アット・ホーム』)をご紹介します。
╂ 本日のおすすめ!(Today’s Selection) ╂
■アーティスト名:Lambert & Nuttycombe
■アーティスト名カナ:ランバート&ナッティカム
■曲名:Morning
■曲名邦題:モーニング
■アルバム名:At Home
■アルバム名邦題:アット・ホーム
■動画リンク:Lambert & Nuttycombe「Morning」
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ランバート&ナッティカム「モーニング」(アルバム:アット・ホーム)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
今回は素朴で沁み込む曲を取り上げます。
よくヘロン(Heron)のような田舎が似合う控えめで華やいだ雰囲気を持ったフォークミュージックに対して「木漏れ日フォーク」という言い方をする場合があります。
このデュオはアメリカ出身ですが、私の中ではこの人たちも同じカテゴリーです。
イギリス代表がヘロン、アメリカ代表がこの人たちという感じです。
メンバーはデニス・ランバート(Dennis Lambert)とクレイグ・ナッティカム(Craig Nuttycombe)の2人です。
このアルバムは当時サンフランシスコで共同生活していた家で録音された、いわゆるホームレコーディングの作品です。
このアルバムはギターと歌声だけというとてもシンプルな作品です。
そのシンプルさがいいじゃないかという言い方もあるかもしれませんが、ギターと歌声だけでいい音楽なんてそう多くありません。
多くの場合、アコースティックでシンプルなサウンドというだけで味わい深いなんてこともなくて退屈してしまうものです。
私も基本的には適切にアレンジされていたり、サウンドに色々な工夫を盛り込んだ音楽の方が楽しめると思っています。
しかし数は少ないけれど、例外があります。それがこのアルバムでありこの曲です。
実際この曲を聞くと目の前で2人がギターを爪弾いて歌っているような気がしないでしょうか。そういう親密な空気感があります。
このアルバムはあのカーペンターズ(Carpenters)などで知られるA&Mレコードから発売されています。
彼らがハーブ・アルパート(Herb Alpert)とジェリー・モス(Jerry Moss)の目の前で演奏したところ、2人はいたく感銘を受けて契約を申し出たそうです。
このアルバムでも最初様々な楽器を入れていたそうですが、結局はギター以外の楽器を入れる必要がないという判断に至ったようです。
もし他の楽器を入れても、おそらくすばらしい作品となったでしょう。
しかし余分な手間を加えないという英断を賞賛したいと思います。
この曲で流れているようなゆっくりとした時間、こじんまりとしているけれどとても親密な空気、小確幸を醸成する雰囲気、そういうものは余分な手間をかけてしまうと失われてしまうはかなげな栄養素に似ています。
聞きどころは2人のイノセントなコーラスと、柔らかに添えられているワルツのリズムを刻むギターです。
生野菜の甘みような人懐こいところがあります。
このアルバムは全体としてとてもすばらしいです。
中には憂鬱を抑えたニック・ドレイク(Nick Drake)といった風情の曲もあって、素朴な味わいの割りに多様な味わいを内包しています。
内気な人が素通りできない音楽がここにあります。
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