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The Lemon Pipers
「Ask Me If I Care」(アルバム:Green Tambourine)

「ヒット曲によって運命が狂ってしまったバンドが残した輝きの1つ」

今回はレモン・パイパーズ「アスク・ミー・イフ・アイ・ケア」(Album『グリーン・タンブリン』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:The Lemon Pipers
■アーティスト名カナ:レモン・パイパーズ
■曲名:Ask Me If I Care
■曲名邦題:アスク・ミー・イフ・アイ・ケア
■アルバム名:Green Tambourine
■アルバム名邦題:グリーン・タンブリン
■動画リンク:●The Lemon Pipers「Ask Me If I Care」

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レモン・パイパーズ「アスク・ミー・イフ・アイ・ケア」(アルバム:グリーン・タンブリン)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

今回はソフトロックの曲を取り上げます。

この人たちの代表曲は、「グリーン・タンブリン」という曲です。まずはリンクを貼っておきましょう。

The Lemon Pipers「Green Tambourine」

この曲の日本語表記は「グリーン・タンブリン」だったり「グリーン・タンバリン」だったりで一定しません。

正直なところ、私はこの代表曲の良さが分かりません。悪い曲とも思いませんが、私の中では可もなく不可もなくぐらいの曲です。

ところが世間一般ではこの曲がこのバンドの代表曲となっていて、しかもダントツの有名曲だったりします。

他に「ライス・イズ・ナイス(Rice is Nice)」という曲などいくつかヒット曲があるので、一発屋ではありません。

ただ世間的には、このバンドはこの曲というイメージになっています。

この曲は同じソフトロックのアーティストたちからも、ごぞってカバーされていたりします。

そのカバーがそろいもそろって原曲忠実だったりしていますが、微妙な違いに気を付けながら聞いても、やはりその曲の良さが分かりません。

私はこの人たちには良い曲がいくつもあると思います。

なぜそれらの曲を差し置いて、この曲が代表曲と呼ばれるのは、まったく見当がつかないのです。

ただこの曲はヒットしたのですね。

1967年にリリースされて、1968年にはキャッシュボックスとビルボード、どちらのシングルチャートでも1位を記録しています。

ゴールドディスクも獲得しています。

ただ私はとても良いグループだと思っていて、ベスト盤だけチェックすればそれで終わりという人たちではないと思います。

私が「グリーン・タンブリン」よりもおすすめしたい曲もたくさんあります。たとえば、その1つがこの曲です。

今回ご紹介する「アスク・ミー・イフ・アイ・ケア」は、いくつか出ているベスト盤でも入っていないことの方が多いぐらいの扱いですが、聞き逃すともったいないと思います。


経歴について

さてこの曲はブッダ・レコード(Buddah Records)というレーベルから発売されています。

レーベル名の「ブッダ」とは「仏陀」つまり「仏様」のことです。

ブッダといえば、バブルガム・ミュージックとかバブルガム・ポップのレーベルとして有名なレーベルです。

当時は1910フルーツガム・カンパニー(1910 Fruitgum Company)やオハイオ・エクスプレス(Ohio Express)など、いわゆるバブルガム・ポップのバンドが多数所属していました。

レモン・パイパーズは、1966年にアメリカのオハイオ州で結成されました。

元々はアイヴィ&ザ・サブレス(Ivan & the Sabers)というバンドが母体となっています。

その当時の曲のリンクを貼っておきましょう。資料的な意味で引用しますので、興味のある方だけお聞きください。

Ivan & the Sabers「It’s Not Like You」

私はそれほど良い曲だとは思いませんが、この曲が発表された1964年としては、とても野心的な音楽だったとは思います。

当時の彼らはフォークロック・ブルースロック、ブルースなどが混在する音楽をやっていたようで、ザ・フーやザ・バーズなどの影響を受けていたようです。

そのバンドがバブルガム・ポップという、合成着色料で味付けしたような音楽を得意とするレーベルに所属したのです。

そしてブッダで最初にリリースした曲が以下の曲です。

The Lemon Pipers「Turn Around and Take a Look」

この曲はヒットしませんでした。確かに悪い曲ではないものの、少々インパクトに欠ける曲です。

それはそうです。なぜなら当時の彼らは、即興演奏を主体とした音楽を進みたかったのですから。これでも妥協した方でしょう。

レーベルとバンドの軋轢について

彼らの即興主体でワイルドな音楽性だった頃の音源を探してみましたが、見つかりませんでした。

ただ当時彼らが出演していたのがフィルモア・ウェストということを考えると、おおよそ想像がつきます。

フィルモア・ウェストというライブ会場は、即興主体のロックバンドが出演する場所でした。

当時の証言を確認すると当時の彼らは、ワイルドで自由な音楽を志向していたようです。

ワイルドで即興を好むバンドと、バブルガムという型にはまった音楽を量産するレーベル。

最初からボタンの掛け違いがあったのです。

ただバンドが提供した先程の曲がヒットしなかったことで、レーベルはテコ入れしようとしてきました。

外部の人材の導入です。

その時に連れられてきた人がヒット請負人のポール・レカ(Paul Leka)です。彼とは相棒のシェリー・ピンズ(Shelley Pinz)が曲を書き、レーベルはそれをバンドに強いました。

バブルガムポップのバンドは実体がはっきりしない場合があって、バンドはプロデューサーがつくる音楽を再現するコマみたいな扱いを受けている場合があります。

成功例も多いので、この方式自体が悪いというわけではありません。

ただこのバンドには向いていませんでした。

外部人材によって「グリーン・タンブリン」がヒットしたことによって、レーベルはますますバブルガムミュージックの枠内に収まるようバンドに圧力をかけましたが、バンドは拒否しました。

彼らは「グリーン・タンブリン」を「funny-money music」つまり「おかしなお金の音楽」と名付けて、毛嫌いしていたそうです。

彼らが「グリーン・タンブリン」を嫌ったのは、歌詞のせいもあるかもしれません。

この曲は道端で演奏しているミュージシャンが、通りを歩く人に「この貧しい私に小銭を恵んでくれれば、あなたの好きな音楽を歌ってみせましょう」というような内容の曲です。

バンドのメンバーがこの曲を気に入らず、レコーディングでもやる気が起きなかった気持ちも分かる気がします。

その後もバンドはレーベルと戦い、人気絶頂の1969年、バンドはブッダレーベルを去ることになりました。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

この曲はそうした軋轢の中で生まれた、輝きの中の1つといえるでしょう。

シングルカットされていない、ファーストアルバムの中の1曲にすぎないにもかかわらずです。

このデビューアルバムのレコーディング時、バンドはレーベルの音楽的管理下に置かれていました。

ただこの曲はザ・バーズのようなフォークロックぽい曲要素がある曲です。

典型的なバブルガム・ポップとは少し違うサウンドかもしれません。

先程触れたようにバンドの資質としては、ザ・バーズに影響を受けた人たちです。彼らの資質にも合った曲なんでしょう。

この曲のギターなんかはいかにも初期バーズという感じはしないでしょうか。そしてコーラスも生き生きしている気がします。

レーベルも鬼ではなく、彼らの資質をそれなりに考慮していたのかなと思わせてくれます。

ザ・バーズが次第に演奏力を生かしたプログレッシブな演奏に移行したように、フォークロック調でヒット曲の実績をつくってから、そうした方向へと進む道があったかもしれません。

私はバンドとレーベル、どちらかの肩を持つつもりはありません。

ただこのバンドは時々こうした輝きを残してくれたので、それを過小評価してはいけないと思っています。

さてバンドはレーベルを離れてから、まもなく解散してしまいました。

大ヒットを飛ばしたことが、彼らの運命を狂わせてしまったかもしれません。

バンドの歴史を耳で追いかけようと、フィルモア・ウェストの頃のライブ音源を探して見つかりませんでしたが、代わりに2017年のThe Lemon Pipers名義の演奏を見つけました。

音が悪いですが、リンクを貼っておきましょう。

The Lemon Pipers「Green Tambourine Summer of Love Annivesary」

往年のヒット曲「グリーン・タンブリン」を演奏していますが、余分なサイケデリックな装飾を取り去った演奏です。

私にとっては、こちらの方がいいように感じます。

フィルモア・ウェストの頃、このバンドは即興を重視したグレイトフルデッドのようなバンドだったと予想していますが、おそらくこれが昔彼らがやりたかったような演奏ではないかと思いました。

今回ご紹介した曲も、今の演奏で聞きたいと思ってしまったぐらいです。

引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。


Green Tambourine

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