「聞いた後に秀逸な短編小説を読んだ後のような感覚があります!」
今回は松任谷由実「気ままな朝帰り」(Album『悲しいほどお天気』)をご紹介します。
╂ 本日のおすすめ!(Today’s Selection) ╂
■アーティスト名:松任谷由実
■曲名:気ままな朝帰り
■アルバム名:悲しいほどお天気
■動画リンク:松任谷由実「気ままな朝帰り」
※オリジナルバージョンではなくライブバージョンです
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松任谷由実「気ままな朝帰り」(アルバム:悲しいほどお天気)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
松任谷由実のアルバムの中では地味なアルバムの、更に地味な曲を選曲しました。
彼女は多くのベスト盤を出していますが、そこには到底入りそうもありません。
それどころかこのアルバムのAmazonのレビューでさえも、この曲について取り上げる人がほとんどいません。
このアルバムではデスティニーという曲が人気で、皆さんその曲が入っているアルバムという位置づけのようです。
もちろんその曲もいい曲です。
まあ私がいいと思えば地味とか関係なくご紹介してしまいますし、今回はこの曲にこだわってみたいと思います。
確かに曲調としては地味ですが、同時に小粋な曲でしょうね。
この曲が歌詞が秀逸です。リンクを貼っておきましょう。
門限があるので会う時間が制限されている。そんな恋を繰り返していた主人公に運命の恋がやってきた。
10代最後のクリスマスがやってくる。家なんか出てしまおう、もう縛られたくない。
そんなやんちゃな頃の自分を後でなつかしく思い出すという曲です。
ここまでだったら時々ある朝帰りの歌ですが、この曲がすばらしいのは、なつかしく振り返る時に門限を口うるさく言っていた父親に対する愛情をさりげなく匂わせているところでしょうか。
それに父親に反抗していた頃に、10代最後のクリスマスがやってくるという状況設定もさすがです。
もし彼女がシンガーソングライターでなくて小説家をやっていたら、どんなにすごい小説を書いただろうと思います。
この曲は口笛から始まりますが、それは後から思い出すという曲に合わせたノスタルジックな曲ゆえの選択でしょう。
歌はいつものユーミンです。淡々と歌っています。
父親に反抗したい気持ちを歌うところだけ声を少し張り上げていますが、歌詞に合わせたメリハリもすばらしいですね。
この頃の彼女も人気はありましたが、その後彼女は人気なシンガーソングライターという枠を超えて、時代のバックグラウンドミュージックみたいになっていきます。
この曲は確かに地味ですが、その才能の片鱗が垣間見えます。
成長して後から父親を心配させたなと振り返ったことがある方には、とても響く曲ではないでしょうか。
引き続きこのアルバムのAmazonレビューを読んでみたい方や、ご購入をお考えの方は、下のリンクからお進みください。