「ウェストコーストロックがAORと出会った時に生まれたさわやかな曲」
今回はマッギン・クラーク&ヒルマン「ロング・ロング・タイム」(Album『マッギン・クラーク&ヒルマン』)をご紹介します。
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■アーティスト名:McGuinn, Clark & Hillman
■アーティスト名カナ:マッギン・クラーク&ヒルマン
■曲名:Long Long Time
■曲名邦題:ロング・ロング・タイム
■アルバム名:アーティスト名と同じ
■アルバム名邦題:アーティスト名カナと同じ
■動画リンク:McGuinn, Clark & Hillman「Long Long Time」
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マッギン・クラーク&ヒルマン「ロング・ロング・タイム」(アルバム:マッギン・クラーク&ヒルマン)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
今回はウェストコーストロックを取り上げます。
この曲が発表されたのは1979年ですから、イーグルス(The Eagles)が「ロング・ラン(The Long Run)」を発表して、当たり前のようにチャート1位を獲得していた頃です。
ウェストコーストロックの定義について一応ウィキペディアを見てみましたが、幅広くカテゴライズしすぎていてあまり参考になりませんでした。
いや違うだろう感がありました。
少なくとも私が考えるウェストコーストロックとは、ビーチボーイズのコーラスに影響を受けた、ほんのりカントリー風味のさわやかでアコースティックなロックを指します。
具体的にはCSN&Y、イーグルス、ドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)あたりがど真ん中です。
今回ご紹介したい音楽はその系譜の後期の作品です。
メンバーはクリス・ヒルマン(Chris Hillman)、ロジャー・マッギン(Roger McGuinn)、ジーン・クラーク(Gene Clark)の3人からなるバンドです。
3人はザ・バーズ(The Byrds)の元メンバーです。だから同窓会的な作品です。
ザ・バーズはウェストコーストロックのルーツともいえるバンドです。
特にカントリーをうまくロックに融合させて、後のイーグルスなどが出てくる下地をつくりました。
元祖ウェストコーストロックといったところでしょうか。
初期のウェストコーストロックはカントリーをうまく活用して独特の味わい深い音楽を生み出していました。
その後次第にカントリーっぽさが希薄になってきて、AORっぽい要素が増えてきます。
ただこの変化はそれほど悪くなかったと思います。その蜜月期間は思いの外短かったと少し残念なぐらいです。
この曲はウェストコーストサウンドがAOR方向に流れていく過程で生まれた音楽です。
もしかしたらこの後ウェストコーストロックはAORに飲み込まれてしまったのかもしれません。
ただルーツ色が薄れてきても、ウェストコーストロックのさわやかさとAORの洗練されたところの相性がいいんですよね。
出だしでちょっとレゲエの曲によるあるようなドラムのアクセントがあって、その後は軽快なギターが始まります。
聞きどころはやはり3人のコーラスですかね。
そのコーラスにエレクトリックギターが切り込んでくる瞬間が、私のお気に入りの瞬間です。
曲の中盤あたりのギターソロは私の大好きなデヴィッド・リンドレー(David Lindley)似ている曲がありますが、多分これはジョージ・テリー(George Terry)の演奏でしょう。
ジョージ・テリーはエリック・クラプトン(Eric Clapton)にボブ・マーリー(Bob Marley)を聞かせて「アイ・ショット・ザ・シェリフ(I Shot The Sheriff)」のきっかけを作った人で、とてもすばらしいギターリストです。
曲はとてもポップで洗練されていますが、ギターにルーツの香りが残っています。
他にはシャッフルするドラムも最高の演奏です。
良い演奏、良いコーラスがそろっていたら悪い曲になるはずがありません。
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