「アイヌ音楽の沈静効果を抽出して純化したようなクラブミュージック」
今回はOKI「レタァ チリ ハウ」(Album『TONKORI』)をご紹介します。
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■アーティスト名:OKI
■アーティスト名カナ:オキ
■曲名:Retah Chiri Haw
■曲名邦題:レタァ チリ ハウ
■アルバム名:TONKORI
■アルバム名邦題:トンコリ
■動画リンク:OKI「Retah Chiri Haw」
※上のリンクから曲の一部を聞くことができます
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オキ「レタァ チリ ハウ」(アルバム:トンコリ)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
今回から「その他ワールド」というカテゴリーを始めます。
ブログを始めて1ヶ月が経過して、まだまだ落ち着いたとはいえません。
しかしもうそろそろこのブログの敷地面積だけでも示しておいた方がいいと思います。
これからもカテゴリーは増えるかもしれませんが、おおよそここまでの敷地の上にご紹介する曲を積み重ねていこうと思っています。
今回はアイヌ音楽を取り上げます。
といってもこれからご紹介するであろういわゆる土着的な音楽とは少し異なります。
このOKIという人は元々は東京芸術大学美術学部工芸科を卒業しています。
この人はアイヌ民族の血を引いているので、外から来てアイヌの音楽を振興しているという訳ではありません。
ただ彼が自分にアイヌの血が流れていることを知ったのは、大学4年生の時だそうです。
つまりアイデンティティを形成する時期が過ぎてから自分の出自を知ったということです。
芸大卒ですから、元々現代的で先端的な感性を持った人だったんでしょう。
そういう人が自分のルーツの音楽を再発見していった結果、この音楽が生まれたことになります。
自分のルーツから生命力を得て、きわめて優れた現代的な感性のフィルターを通過して生まれた音楽です。
だから現代的な耳にも素直に入ってきます。
例えばこの曲なんかはどうでしょう。
アイヌ音楽ではあるけれど、同時にきわめて現代的なミニマルミュージックでもあります。
最初はクラブ・ミュージックのカテゴリーでご紹介してもいいのではないかと思ったぐらいです。
この曲は元々アイヌの伝承曲を彼がアレンジしたものだそうです。
トンコリというのはカラフト・アイヌの5弦の弦楽器だそうで、素朴な音の響きですが、ギターとも違った瞬発力がある音が特徴的です。
心が和む音を出す楽器です。
この後彼はアイヌ音楽と世界の様々な音楽とを組み合わせて、きわめて刺激的な活動をしていっています。
その第一歩となるのがこのアルバムです。
私は最初聞いた時にダラー・ブランド(Dollar Brand)の「アフリカン・ピアノ(African Piano)」を思い出しました。
そういえばあれもアフリカの感性が西洋音楽に出会った時に生まれた音楽でしたね。
この曲は現代的な意匠に収まりきれない生命力のある音楽だと思います。
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