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Tahiti 80「Changes」「Matter of Time」(アルバム:Fosbury)

「陸上競技のレジェンドをアルバム名にした彼らの転機となった作品」

今回はタヒチ80「チェンジズ」「マター・オブ・タイム」(Album『フォスベリー』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:Tahiti 80
■アーティスト名カナ:タヒチ80
■曲名:Changes、Matter of Time
■曲名邦題:チェンジズ、マター・オブ・タイム
■アルバム名:Fosbury
■アルバム名邦題:フォスベリー
■動画リンク:「Changes」「Matter of Time」

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タヒチ80「チェンジズ」「マター・オブ・タイム」(アルバム:フォスベリー)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

この人たちは日本での人気が高いバンドです。

1999年にファーストアルバムの「パズル(Puzzle)」は、日本で大ヒットしました。

たしか当時、渋谷のHMVでも記録的売り上げだったという話を聞いたことがあります。

ファーストとセカンドの間に様々な企画盤を間に入れたことで、そのブームは思いの外長く続きました。

そのおかげで、セカンドアルバム「ウォールペーパー・フォー・ザ・ソウル(Wallpaper for the Soul)」の頃でも、まだその熱が残っていました。

今回ご紹介する「フォスベリー」は、3枚目のアルバムで2005年に発売されています。

前作の「ウォールペーパー・フォー・ザ・ソウル」の発売が2002年ですから、3年のブランクが開いていますし、デビューから6年が経過しています。

さすがに熱が冷めていた頃です。

アーティストはとにかくデビューアルバムが大切だと思います。

ヒットしないと、次のチャンスが与えられません。

そしてヒットしたら、二作目では前作の路線を引き継ぐというのがセオリーです。

その路線が正しいからこそヒットしたのだし、前作でファンになった人は、当然ながら前作の路線を期待します。

ただ二作目では固定ファンをつくらないといけません。

同時に音楽ファンやレコード会社に対して、一発屋でないことを認知させる必要があります。

一発屋も多いですが、二発屋も多いです。

大きく育ったバンドを見ていて思うのは、三作目で質の高い作品を発表していることです。

このバンドとよく比較されるフェニックス (Phoenix)も、三作目の「イッツ・ネヴァー・ビーン・ライク・ザット(It’s Never Been Like That)」を聞いて、もう大丈夫だなと思った記憶があります。

その後四作目の「ウルフガング・アマデウス・フェニックス(Wolfgang Amadeus Phoenix)」で、グラミー賞を受賞しました。

このバンドが気に入って未聴の方がいらっしゃったら、フェニックスの方も、ぜひチェックしていただければと思います。

このバンドもプロモーションがうまくいき、二作目まではとりあえず順調でした。

当時は普段洋楽を聞かない友人も聞いていたぐらいです。

ボーカルがセクシーすぎると言っていましたが。

そして、このアルバムは勝負の三作目です。

なぜ「Fosbury」というアルバムタイトルにしたか

このアルバムのテーマは変化です。まずはアルバム名について触れておきましょう。

「Fosbury」というアルバムタイトルは、走高跳の選手であるディック・フォスベリーからとられています。

タヒチ80はフランスのバンドなので、フランスの選手かと思いきや、アメリカの選手でした。

この選手は棒高跳びの「背面跳び」を、世界大会で初めてやった選手として知られています。

当時は腹ばいに飛ぶ「ベリーロール」が、オリンピックでも当たり前の時代でした。

彼は記録が伸び悩んでいて、練習で偶然背面跳びみたいになった時に、自分の限界を超える為に、この方法に挑戦しようと思ったそうです。

最初は世間の目は冷たかったらしいです。彼

以外誰もそんな跳び方をしている選手がいませんでしたから、曲芸扱いだったのですね。

この方法を当時誰もやっていなかったことには、跳び方が奇妙な他に、もう一つ理由がありました。

背面跳びだと背中や首からマットに落下するのですが、当時のクッション材が今よりも材質が悪く、少し怖かったようです。

つまり当時背面跳びは危険で、非常識で、人に笑われる奇妙な跳び方だったのですね。

しかし1968年メキシコオリンピックという晴れの舞台で、2m24cmの世界新記録を出した後は広く認められ、今では背面跳びが一般的になっています。

ただその分岐点となるオリンピックの時では、まだ多くの人がとまどっていました。

彼が世界記録を出した時、審判団はルールに反していないか協議に協議を重ねて、その後でやっと金メダルを授与できることに決定したのです。

そのオリンピックの時の動画を貼っておきましょう。跳ぶ前の緊張感が伝わってきます。

Dick Fosbury-flop

外の選手が腹ばいで飛ぶいかにも苦しそうな跳んでいるのに比べて、背面跳びは放物線を描いていて、見ていて美しいと思います。

彼が挑戦した結果、競技のイノベーションが起こったのですね。

同じ男としてディック・フォスベリーはかっこいい男だと思います。

もしかしたら日本では生まれにくい選手だったかもしれません。

さてアルバム名の由来に文字数をかけすぎました。このアルバムは勝負の三作目です。

これまでの二作はアイヴィー(Ivy)やブルックヴィル(Brookville)での活躍が有名なアンディ・チェイス(Andy Chase)がサウンドプロダクションで大きな役割を担ってきましたが、このアルバムでは彼のプロデュースから離れています。

今作でプロデューサーとなったシェルバン・ゲネア(Serban Ghenea)とNeal H Pogueは、ネプチューンズ(Neptunes)やアウトキャスト(Outcast)、N.E.R.D.を手掛けてきた人たちです。

つまり純粋なロックとかギターポップ畑の人とは大きく異なります。

どうやらソウル、HIP HOP、エレクトロな方面に大きく舵を切る目的で起用した人のようです。

アルバム名の通り、確かにこのアルバムで彼らは挑戦しようとしていたのですね。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

「チェンジス」ではリズムがHIP HOP寄りとなり、エレクトロな要素が強くなっていて、その変化の現れています。

自分たちが変わったことをアピールしたかったのでしょうか。

曲名を直訳すると「変化」ですし、この曲をシングルカットしてそれを強くアピールしています。

確かにバンドサウンドという感じではなくなっています。

HIPHOPっぽいリズムの上で、少しひんやりしたアンビニエントなサウンドが乗っかっています。

時々入るアコースティックギターがとても効果的です。

ギターもギターという楽器が必要というより、ギターの響きが欲しかったという感じで、サウンドのパーツに過ぎない扱いです。

曲の出来もすばらしいのですが、メロディ的にはあまり展開はしない曲です。

そういう曲はえてして、バックのサウンドを音楽を聞く曲ですが、この曲もそういう曲です。

サウンドがとても魅力的なので、この試みは成功だと思います。

一方「マター・オブ・タイム」はバンドサウンドの曲で、ファーストアルバムにも入っていてもおかしくない曲です。

曲の出だしからグザヴィエ・ボワイエ(Xavier Boyer)のセクシーすぎるボーカルが爆発しています。

ちなみにこのジャケットでは、真ん中のイケメンがこの人です。

31秒ぐらいから入るギターのカッティングがとてもかっこいいです。

その後の渋谷系っぽいドリーミングなコーラスも心地よいです。

ドラムは意外と力強く、この曲の推進力となるとともに、甘すぎるかもしれないこの曲を引き締めています。

そしてこの曲の最大の聞きどころは2:07からです。

ギターのカッティングとセクシーボーカルとコーラスの掛け合いに焦点が当てられています。

その後グザヴィエのボーカルがアカペラっぽくなるところまでが、鳥肌ポイントです。

おしゃれで渋谷系みたいなサウンドが心地よい、心弾む名曲です。

この人の場合は、こういう可憐でキュートな曲を歌ってくれればそれでいいという人も多いかもしれません。

このアルバムは1曲目の「Big Day」を始めとして、ところどころに新しい試みが見受けられます。

ただ聞いた当時の記憶でいえばそんなに冒険したなというイメージは受けませんでした。

というのは「Matter of Time」みたいな、従来のイメージの曲も多かったからです。

それでも後の布石を打ったのかなと思われる点があります。

エレクトロやHIPHOPだけでなく、少しソウルっぽさを出してきている気がします。

ソウルといっても黒っぽいサウンドではなく、「ユア・ラヴ・シャイン(Your Love Shines)」で共演しているリンダ・ルイス(Linda Lewis)みたいなイメージのソウル感覚です。

ただ私がこのアルバムを初めて見た時、そういうことよりもジャケットのパンダが気になりました。

パンダの正体はペドロ・ルスンド(Pedro Resende))です。彼自身のアイデアで、パンダの被り物をやったそうです。

「チェンジス」の動画で黄色いTシャツを着て、椅子に座ろうとしたら椅子が消えて転んだ人です。

この人はパンダっぽいかわいい外見をしていますよね。

アルバムタイトルの趣旨とはあまり合致していませんが、パンダがかわいいからいいことにしましょう。

確かにこの人たちの変化はディック・フォスベリーほど大きな変化を示したわけではありませんが、小さくても確実な変化を示した意欲作だったと思います。

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Fosbury

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