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Viva Brasil「Skindo-Le-Le」(アルバム:Viva Brasil)

「異国の地でこのバンド名を付けた彼らの思いを想像して聞いてみてください」

今回はヴィヴァ・ブラジル 「スキンドゥ・レレ」(Album『ヴィヴァ・ブラジル 』)をご紹介します。

本日のおすすめ!(Today’s Selection)
■アーティスト名:Viva Brasil
■アーティスト名カナ:ヴィヴァ・ブラジル
■曲名:Skindo-Le-Le
■曲名邦題:スキンドゥ・レレ
■アルバム名:アーティスト名と同じ
■アルバム名邦題:アーティスト名カナと同じ
■動画リンク:Viva Brasil「Skindo-Le-Le」

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ヴィヴァ・ブラジル「スキンドゥ・レレ」(アルバム:ヴィヴァ・ブラジル)ディスクレビュー

こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ

この曲はクラブヒットとして有名です。

アライヴ!(Alive!)を筆頭に、阿川泰子さんなど多くの人がカバーしています。

アライヴ!と阿川泰子バージョンはどちらもすばらしいのですが、原曲に忠実なカバーですので、比較して聞くのには向いていないと思いました。

ジャズフィーリングあふれるこのあたりのカバーであれば、はっきりとした違いを楽しめるのではないかと思います。

たなかりか Skindo Le Le

ちなみにカバーの年を挙げておきましょう。

Viva Brasil 1980年
阿川泰子 1981年
Alive! 1982年
たなかりか 2009年

この曲はクラブシーンで再評価された曲で、オリジナルが出てすぐに2つのカバーが発表された以外は、1990年代以降に集中してカバーされています。

それもこれもAlive!と阿川泰子さんが、再評価の流れを作ったからです。

アライヴ!はヴィヴァ・ブラジル と同じくサンフランシスコ出身で、同じ系統のバンドですから、この曲を知っていておかしくありません。

恐るべしは阿川泰子さんです。

極東の日本にいてこの曲を取り上げるとは、耳が早かったのですね。

ちなみにこのバンドは再評価された後、発掘音源の「Lost & Found」やオリジナルアルバムの「Festa」「Messages」などを発表しています。

この曲はもう39年も前の曲ですが、まだまだ現役感の強い曲です。

ただこの曲はカバーバージョンが多すぎて、近年にカバーされる時には、フェイクを入れたり、アレンジを変えたバージョンが増えてきています。

上のたなかりかさんのバージョンも、リズムについては躍動感のあるオリジナルとは異なりますが、それでもなかなか良い曲だなと思えます。

この曲が時代を超えてカバーされ、この曲の特徴であるリズムを変えてもカバーされるということは、やはり楽曲そのものの生命力があるということに尽きます。

ただ私はこの曲には、躍動的なリズムとかメロディの良さだけではない、何か情熱の素となるものがあると感じます。

今回はこの曲の背景を追いかけてみたいと思います。

グループ名とブラジルの軍事政権の影響

ヴィヴァ・ブラジルは、作曲を担当しているクラウディオ・アマラル(Claudio Amaral)とジェイ・ワーグナー(Jay Wagner)が中心のグループです。

この人たちは元々メイド・イン・ブラジル(Made in Brasil)というグループに所属していました。

その後ヴィヴァ・ブラジルを結成しています。

彼らはブラジル出身者からなるブラジリアン・フュージョンのグループです。

どちらもバンド名に特徴がありますね。大真面目に翻訳すると気恥ずかしいのですが、こんな感じです。

Made in Brasil →ブラジル製
Viva Brasil →ブラジル万歳

どうでしょうか、このブラジル大好きっぷりは。分かりやすすぎます。

しかし一つ疑問が湧きます。彼らが活動していたのは、ブラジルではなくアメリカです。

自分たちがブラジル人だということに相当こだわっている様子があるのに、なぜ異国の地で「ブラジル製」とか「ブラジル万歳」とかいうグループ名で、活動していたのでしょうか。

彼らがアメリカで活動してたのには理由があります。当時のブラジルは、軍事政権下にありました。

軍事政権下では表現が制約されたり、理不尽な弾圧に遭い、多くのアーティストが海外に脱出して、音楽活動をしていました。

1977年には2000人を超えるジャーナリストたちが、情報公開と批判の自由を訴える共同宣言を発表するような状況でした。

1979年にフィゲレード大統領が就任すると、サンパウロでは民主主義を求める20万人の大群衆の大集会が開催されました。

危機感を覚えた軍事政権は、1979年9月に恩赦法を制定したりなどして、批判をかわそうとしました。

それによって海外に亡命している7000人が帰国しましたが、完全に軍事政権が終結するのは、1985年まで待たなければいけませんでした。

そういう激動の時期にアメリカで活動していたのが、この人たちです。

アメリカはクリード・テイラー(Creed Taylor)など、ブラジル音楽を普及させようという情熱を持った人が沢山いました。

何しろ繁栄した大国でしたから、多くのブラジル人ミュージシャンが訪れていました。

この人たちはその中でも、自分たちはブラジル人だという意識がとても高かったのでしょうね。

もし日本で「北朝鮮製」とか「北朝鮮万歳」というグループがあったら、なんかすごいなと感じてしまいますよね。

ただもしも日本が軍事政権になって、海外に移住することになったとしら、私だって自分は日本人という意識を大切にすると思いますから、気持ちは分からないでもありません。

この曲のどこがすばらしいのか

さて曲を聞いていきましょう。

出だしはしっとりと始まりますが、躍動感のあるリズムが始まると、曲が活性化し始めます。

洗練されたフュージョンっぽい肌触りと、ダンサブルなリズムが前半をひっぱります。

この曲の鳥肌ポイントはサビです。ここはもう完全にコテコテのサンバですよね。ダンスフロアーではここでみんな爆発します。

その後2:17から疾走するリズムとキーボードに平行して、ファルセットのスキャットが入りますが、ここもまたすばらしいですね。

そしてまたサビで爆発するという、エキサイトに次ぐエキサイトの瞬間が続きます。

歌詞も曲調から予想される内容です。一部を翻訳してみましょう。

あたなが寂しい時
あなたが悲しい時
私の言うことを聞いてください

やりたいことをやる
それがこの世に生きる方法です(中略)

なぜあなたは私たちに加わらないのですか
この歌を歌いましょう
幸せとは音楽のことで
音楽は本物です
あなたの心の内を声に出してみてください
きっと気分が良くなります

歌詞の原文は以下から参照
Alive! – Skindo Le Le の歌詞 |Musixmatch

つまり音楽で憂さを晴らしましょうという曲です。そもそもサンバとは、ひと時の憂さを晴らす為の音楽ですからね。

この曲はクラブヒットしていますが、曲調を一言で表すとサンバです。

当時アメリカに来ていたミュージシャンの多くは、アメリカのマーケットで受け入れられるように、ブラジリアンテイストを少し薄めにすることがありました。

私はそれが間違いだとは思いません。現地で受け入れられる為に、現実的な判断をしたということだと思います。

一方でこの人たちはこの曲で、ブラジル色を薄めていません。むしろブラジル色を色濃く強く打ち出しています。

そもそもバンド名が「ブラジル万歳」なぐらいです。

もし彼らがずっと平和な下のブラジルにいたら、こんなバンド名をつけていないでしょうね。

この曲の歌詞の出だしは、悲しかったり寂しい時という場面から始まります。

軍事政権下で自国を離れ異国の地でつのる思いが、この曲に感じられないでしょうか。

その狂おしい思いが隠し味となって、今もなおこの曲に生命力を宿しているのかもしれません。

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Viva Brasil

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