「音楽の才能だけではつくることができない種類の音楽です!」
今回は山下達郎「蒼氓」(Album『僕の中の少年』)をご紹介します。
╂ 本日のおすすめ!(Today’s Selection) ╂
■アーティスト名:山下達郎
■曲名:蒼氓
■アルバム名:僕の中の少年
■動画リンク:山下達郎「蒼氓」
╂ 名曲レビューでは四つ星半以上のとびっきりの名曲だけをおすすめしています!╂
山下達郎「蒼氓」(アルバム:僕の中の少年)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
この曲は年の瀬が近くなると聞きたくなります。
このアルバムのウィキペディアを読んだところ、ファンクラブの投票で好きなアルバムのアンケートで1位なんだそうです。
他にいくらでも華やかで分かりやすい良さを持ったアルバムがあるでしょうが、やはり達郎ファンは達郎ファンです。
地味といえば地味だし、シリアスで重苦しいところもあります。
純粋に消費できる感じではありませんし、消化にやさしい音楽でもありません。
私の推測では、達郎だったらいい曲だらけのアルバムは当たり前、でもこのアルバムは他のアルバムで代替はできない。だからナンバーワンという感じに思えます。
従来からの都会的でキラキラしたイメージをなぞる「踊ろよ,フィッシュ」のような曲もあります。
また「ゲット・バック・イン・ラヴ」みたいな名曲としかいいようがない出来の曲もありますが、私にとってはラスト2曲がこのアルバムのハイライトです。
更にこの曲だけに絞りました。
この曲は彼が単に音楽の才能があるだけの人ではなかったのだと思わせてくれる曲です。
このアルバムは彼が自分の中の少年に別れを告げるということがテーマのアルバムです。
娘が誕生したことによって、大人の男性として現実に立ち向かっていこうという決意が伺えます。
それを前向きに捉えることの決意がこのアルバムに特別な深みを与えています。
更に人生の節目に立った1人の男性として、心の内を吐露しているのがこの曲です。
ちなみに蒼氓とは(そうぼう)と読み、「普通に生きて、いつかは死んでゆく名もなき民」という意味だそうです。
本来この人は英語の曲名を付けたがる人ではありますが、日本語ではあまりややこしい曲名を付けない人です。
でもこの言葉をあえて選んだことは、他の言葉では置き換えできないということでしょう。
実際、この曲は歌詞を聞かせる曲です。彼の言いたいことは次のフレーズだと思われます。サウンド上も強調されていますからね。
生き続けることの意味、それだけを待ち望んでいたい。
To find out the truth of life!
私なりに解釈するとこんな感じかなと思います。
これまで生き続けることの意味を探してきたけれど、まだ見つかってはいない。
ただ今はもう探してばかりいられる立場ではない。
名も無き1人の人間として、これからは家族を守っていくことに決めたんだ。
そうしている間に生き続けることの意味が見つかってくれるのを待ち望みたい。
それぞれの人によって捉え方も違うでしょう。
それにその人の人生の段階によっても受け取り方は異なるかもしれません。
この曲はそれだけの器を持っていると思います。
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