「音響地獄めぐりの旅はここからです!」
今回はゆらゆら帝国「おはようまだやろう」(Album『空洞です』)をご紹介します。
╂ 本日のおすすめ!(Today’s Selection) ╂
■アーティスト名:ゆらゆら帝国
■曲名:おはようまだやろう
■アルバム名:空洞です
■動画リンク:この曲は動画がありません
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ゆらゆら帝国「おはようまだやろう」(アルバム:空洞です)ディスクレビュー
こんにちは。おとましぐらです。(プロフィールページへ)
日本にはアコースティックな響きにこだわりのある人は沢山いても、人工的で尖った音響の系譜はないように思います。
ギターのエフェクターにこだわっているような人はむしろ多いかもしれませんが、その多くはジャンクで奇妙な音像を追求している訳ではなさそうです。
もちろんそういうものも大変素晴らしいと思いますが、なかなかマッド・サイエンティストみたいな常識外れの人がいないと思います。
いないこともないけれど、基本単発でアンダーグラウンドです。
どういう人のことを指しているかというと、演奏とか曲よりも音響が優先で、基本人を不安にさせるけれど不思議とどこかで快楽神経に繋がっている、そういう奇妙な響きを発見しては飛び上がって喜ぶような人のことです。
私の想像の中で彼らは、薄暗い地下室でビーカーを持って得体の知れない薬剤を混ぜています。
翻って海外では自然にあまりやさしくなさそうな音響を追求するマッドサイエンティストの系譜があります。
古くはジョー・ミーク(Joe Meek)とか、フィル・スペクター(Phil Spector)とか、当時お蔵入りとなったビーチ・ボーイズ(Beach Boys)のスマイル音源の数々、比較的最近でいえばポスト・ロックの人達や一部のHIPHOP畑の人達。
こういう人達は普通のロックやポップスのフィールドの中に、その枠組みを壊しかねない奇妙な音響を強引にねじ込んできます。
こういうジャンクな音響はセンスが問われます。一番センスが問われると言っても過言ではありません。
ダメージ・ジーンズをつくるのにはセンスが問われるのと同じです。
でも待ってください。
日本にはゆらゆら帝国がいます。
この人たちの音響センスは本当にすばらしい。
世界の音響の系譜にも太字で記載されるべきだと思いました。いや一章を費やしてもいいレベルです。
無駄に前置きが長くなってしまいましたが、まるで大リーグで活躍するイチローみたいだと言いたかったのですね。
この人たちの曲はどの曲も純粋に音の響きに浸っていたいものばかりです。
確かに曲も演奏もいい。でもこの音の響きがあれば、メロディとか演奏力とかどうでもよくなってしまうぐらいです。
これはむしろ反音楽ではないでしょうか。現代のスペースエイジ・ミュージックです。
最初はもっと激しい曲にしようかと思ったけれど、この曲はこの人たちには珍しくマイルドで聞きやすいので、聞きやすさを優先しました。
実際、聞きやすくても濃厚な曲です。
もしこの音響にはまってしまったら、音響地獄めぐりの旅にでも軽く出かけてみてはいかがでしょうか。
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