最初にあるフォロワー様のツイートをご紹介します。
そのツイートは、その時私が抱えていた問題意識を深めるきっかけを与えてくれました。
そのまま流れてしまうのはもったいないと思い、引用させていただくことにしました。
2つのツイート
ノーマン・ジェイは、他のレア・グルーヴDJやノーザンソウルのDJに比べて柔軟性があると思いますね。レア・グルーヴって名が知れ渡ったのが90年代に60、70年代のファンク、ロック、ラテンにグルーヴを見出すというモノだったから、現代に90年代B級ハウスに価値を見出すのは時代に沿っている
ノーマン・ジェイに「レア・グルーヴを教えてくれ」と家に尋ねた友人は、「これだ!」と教えられたのがハウスで、ハウスじゃん!ってなったそうだが、今となってはB級ハウスがレア・グルーヴなもかもしれんっとノーマン・ジェイの先見性に納得した。
レア・グルーヴの記事を書いた時に感じたこと
その時私はメインブログ「音楽鑑賞サブノート」の方で、レア・グルーヴの記事をツイートでご紹介したところでした。
レア・グルーヴ(Rare Groove)の名曲名盤10選【定番・代表曲・隠れた名曲】
上の記事はレア・グルーヴ入門者に向けて書きました。
レア・グルーヴとは、こんな感じの音楽だということを分かっていただくために。
しかしそれは奇妙なことかもしれません。
なぜなら本来レア・グルーヴとは、こういうものと定型化するような音楽ではありませんから。
ただある程度レア・グルーヴを掘り進むと、いくつかパターンが見えくるのも事実。
発見した曲を無意識にいくつかのパターンに当てはめている自分に気が付きます。
時々私が陥るマンネリ
そして思うこと。
こんなに良い曲を見つけたのに、昔ほどワクワクしない。
そのことは最初は新鮮に見えていた風景が、もっと先まで歩いても同じだと確信した時に似ているかもしれません。
そもそも新しく発見した音楽なのにもかかわらず、どこかで聞いたことがあるような既聴感がある。
ある程度音楽を聞いた人ならば皆、経験することかもしれません。
私は先程の記事を書いていた時、モヤモヤを抱えていました。
子供の頃の私について
私は子供の頃、音楽に対して好奇心の塊でした。
そんな私は人一倍音楽に詳しくなりたいと考えていました。
しかしその先に何があるのか。
そもそも私が目指すはるか先、世界一音楽に詳しい人は誰なのでしょうか。
トーキング・ラウド(Talkin’ LoudLoud)の創始者ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)、そして同レーベルでA&R担当を務めたノーマン・ジェイは、その候補の中にいるように思いました。
もちろんその2人が世界一音楽に詳しいかどうかは知りません。
しかしノーマン・ジェイは、レア・グルーヴという言葉を考案した創始者です。
しかも彼はDJとして初めてエリザベス女王から大英帝国勲章を授与された人。
若い頃の私にとって、そびえ立つラスボスのような存在に思えました。
時々訪れるマンネリの時期
先程私はレア・グルーヴにスリルを感じなくなってきたと書きました。
しかし普段の私はそうではありません。
音楽はパターン分けしてそれで終わりではありませんし。
同じパターンならばそれ以降は全て同じで退屈するというものでもありません。
実情としてはむしろその逆です。
普段の私ならパターン化された後に残る細分化された違いの中に、そのアーティストの魅力を聞き取ろうとします。
そもそもそんな風に思えないようであれば、私はハードバップみたいな音楽を聞いていないと思いますし。
ただ時々そのわずかな違いを楽しめないと気付くことがあります。
音楽そのものは同じなのですから、問題は自分の中にあるのでしょう。
私のスランプ脱出法
私のマンネリ対策は様々なジャンルの音楽から、ランダムに新しい魅力的な曲を探すこと。
私はいつもその方法によってリフレッシュできています。
その成果の一部はnoteでも公開しています。
私はnoteで過去にツイートした曲とこれからツイートする予定の曲を公開しています。
現時点ではまだ500曲程度にすぎませんが、質の維持に留意しながら最終的には1万曲以上になる予定です。
中にはレア・グルーヴの曲も含まれています。
雑多な曲が並んでいますが、それは私がマンネリを払拭しようとしてきた歴史ゆえかもしれません。
コンピレーション「Good Times」について
さてここでノーマン・ジェイの話に戻します。
ノーマン・ジェイは何を聞いてもつまらないとか、刺激が感じられないとか、そんな風に感じることはないのでしょうか。
私は自分の経験から、どんな人にもそういう時期が来るような気がします。
そして彼も様々な音楽を聞くことで、常に耳を新しくしていたのではないかと。
彼のインタビューを読むと、彼は子供の頃から雑食なリスナーだったそうです。
彼が選んだコンピレーション「Good Times」シリーズは、確かにかなり雑食な選曲が特徴です。
その雑食さは日本でも「Free Soul」などの選曲方針にも強く影響を与えました。
そんな彼は、従来のレア・グルーヴとは違った傾向の曲をセレクトすることがあります。
「Good Times」で違和感を感じた曲
私は以下の曲を、ノーマン・ジェイの編集盤「Good Times 2」で知りました。
Tenth & Parker – Kool Down (Tenth & Parker Dark Dub)
ここでは全く同じではなく、ボーカルが大きくフィーチャーされているバージョンの方でご紹介してみました。
ボーカルは、ジャズ・シンガーのマーク・マーフィー(Mark Murphy)。
私は「Good Times 2」で、この曲に至るまでの前2曲を含めた繋ぎを興味深く感じました。
まずウーキー (Wookie) 、次にニティン・ソウニー(Nitin Sawhney)のドラムン・ベースっぽい曲。そしてこの曲です。
この3曲だけ抜き出せばレア・グルーヴという感じはしません。
しかし私はそこにレア・グルーヴの中心をずらそうとする、ノーマン・ジェイの意志を感じます。
私がレア・グルーヴに求めているもの
私はレア・グルーヴの記事を書いた時、レア・グルーヴのディスクガイドがあることを書きました。
しかし私はその本を買うつもりはありません。
おそらくその本を買えば、未知の曲との出会いがあると思います。
しかし私はディスクガイドを参照してレア・グルーヴを掘るという行為自体に、少々違和感を感じるのですね。
そもそもそういうものではない感じがします。
今の私が望んでいるのは、教科書的な知識ではありません。
教科書の範囲を逸脱した結果リスナーに違和感を感じさせ、未完成でも可能性を感じさせてくれる何か。
音楽リスナーとしての私の本能は、答えを探すならばオフロードを進めと伝えています。
「古い地図なんか見ているんじゃないよ」と。
レア・グルーヴの可能性の中心(レア・グルーヴ2.0)
私は1980年代とか1990年代のアンダーグラウンドのクラブ・ミュージックに詳しくありません。
レコードだけでしか出回らず、しかもプレス枚数が最低ロットのものも少なくないはず。
私は誰かがそれらから優れた曲を発掘して世に解き放ち、レア・グルーヴを拡張してくれればと夢想しています。
私はその役割をはたすことができません。
というのは肝心の音源を持っていませんから。
アンダーグラウンドでB級のレア・レコードを大量に抱えているような、かなり鼻の利く古参DJでなければ。
たとえばノーマン・ジェイのような。
変わらないために、変わらなければいけない。
そう感じさせてくれる、レア・グルーヴ2.0の登場はありえないのでしょうか。
レア・グルーヴの生みの親ノーマン・ジェイは、既存のレア・グルーヴに退屈したりはしないのでしょうか。
もし退屈だったならば、攻めていってほしいと思います。
もしかしたら彼にはレア・グルーヴの可能性の中心が見えているのかもしれませんから。
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