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AIがつくる音楽が既に人間と並びつつあり将来的には凌駕するかもしれないという不都合な真実について

最初に私の立ち位置を申し上げると、私はテクノロジーの進歩に否定的ではありません。

しかし同時に人間がつくった音楽が好きです。

この記事ではAIが到達した現在位置と、その狭間で揺れ動く私の思いを書いてみました。

 

AIが描いた絵画が絵画コンクールで優勝した

皆様はこの絵画を見て、どのように思われたでしょうか。

私は以下のジョージ・デュークのアルバム・ジャケットを思い出しました(笑)

george-duke-guardian

閑話休題、私は率直にすばらしい絵画だと思いました。

それどころか、これほどの絵画を描ける画家は世界でもどれほどいるのかと思ったほど。

もしかして私はAIの力を見くびっていたのかもしれません。

 

AIが生成した小説も入賞している

でもそれは絵画の話だろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし小説においてもAIの躍進は著しいようです。

文学賞「星新一賞」で“AIと作った小説”が初入選 人間以外の作品が応募の4%に増加

星新一賞はAIが生成した小説も応募可能です。

2022年初頭には既にAIを活用した小説は、著名なコンテストで入賞しているのですね。

2022年はAIにとっては一昔前です。

AIの知能は人間以上です。

チェスと将棋を含め、知性が問われる分野では既に人間はAIに太刀打ちできません。

加えて、底なしの創造力まで備えてきました。

 

Suno AIの登場というターニングポイント

それは音楽にも波及しています。

ターニングポイントになったのは、音楽生成AI「Suno AI」の登場です。

Suno AIとは文章でどういう音楽を生成してほしいか指示すると、オリジナルの音楽が生成されるAIのこと。

作詞作曲、サウンド、ボーカル全てSuno AIで生成可能です。

どんなジャンルでも生成可能です。

現時点では無料版でも1日5回、10曲まで生成できます。

Suno AIは今も著しい進化を続けており、将来的にはどこまでいくか想像もつきません。

徒にあおるつもりはありませんが、人間が生み出す音楽は今後急速に分が悪くなってくるでしょう。

Suno AIは2023年9月にリリースされたばかりですが、3か月程度でも脅威を感じる存在に急成長しています。

 

Suno AIが生成した音楽

聞いた方は、まあまあやるなと思われたかもしれません。

しかしこちらの想定する上限値を超えるのは時間の問題かもしれません。

私も普通に良い曲だと思いますし、ヒットする可能性もあると思います。

 

AIは人間くさくアーティスティックな音楽も生成可能

しかし最高の音楽とは人間くさかったり、アーティスティックなものだろう。

そういうものはAIでは無理だと思われるかもしれません。

私もそう思いたかったです。

しかしAIは人間くささやアートの壁を、あっさり超えてくる可能性があります。

現在AIを駆使した音楽が一部で流行っています。

それはそのアーティストが歌っていない曲を再現するというもの。

たとえばレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)がディープ・パープル(Deep Purple)の「ハイウェイ・スター(Highway Star)」をカバーしたらみたいなもの。

マッシュアップの一種みたいな感じです。

ちなみにマッシュアップに興味がある方は、以下の記事をご覧ください。

マッシュアップ(Mashup)という曲を組み合わせる手法、おすすめ10選

 

AIが生成した曲2選

XXXTENTACION AI – How To Save A Life

Paul McCartney – Alone Again (Naturally)

特に後者の組み合わせには納得感がありますね。

上の2曲の歌はAIが生成したものです。

私はこの2曲を聞いて、不覚にも感動してしまいました。

細部では確かに違和感を感じるものの、感動した時点で私の負け惜しみかもしれません。

ちなみにAIはルーツ系も苦にしません。

Johnny Cash & “AI” Hank Sr. Perform Folsom Prison Blues [ AI Cover ]

上の曲はカバー曲ばかりですが、AIはオリジナル曲もつくれます。

文章で指定しさえすれば、オリジナル曲をシカゴ・ブルースとテキサス・ブルースのバージョン違いで生成することもできます。

 

既にAIは商業利用されている

現在は表現の主体がAIに移行しつつある過渡期かもしれません。

その動きは広告業界で活発化しています。

今までは音楽や映像を外注していた彼らは、今後AIで製作するかもしれません。

外注費をかなり低く抑えられますし、何よりAIタレントはスキャンダルのリスクもありません。

伊藤園はAIで製作したテレビCMを公開しています。

お~いお茶 カテキン緑茶TVーCM 「未来を変えるのは、今!」篇

このCMに対して、テレビ・タレントや俳優、女優などから否定的な意見が上がっているようです。

それは彼らの収入源の1つが無くなることに対する危機感の表れかもしれません。

上のCMでは映像のみですが、音楽もAIで生成できます。

安く安全で高品質なのですから、今後この流れは加速するに違いありません。

今後AIは長編映画やアニメの分野にも進出することが予想されています。

 

AIにはない強味となる人間力

AIの進歩はあまりに急速すぎて、将来は音楽を含む様々な業界でシェアの一定割合をAIが占める未来は避けられそうもありません。

ではそんな時代のアーティストはどうしたらいいのでしょうか。

私は音楽の質の高さや個性だけでなく、感情を含む人間的な魅力トータルで訴求することが重要だと思います。

問われるのは人間としての総合力かもしれません。

どんなすぐれた個性を持った音楽も、瞬時にAIに学習されてしまいます。

しかしたとえば若い頃交際している女性がつくってくれた料理には、味の良し悪しを超えて感激するものです。

人間の強みはやはり人間らしさと関係性にあると思います。

浜田省吾のように人間の魅力と密接に紐づいている音楽は、それだけでAIと差別化されていますし、簡単には消費され尽くしません。

 

AIと共存する方法

私はAIと共存する方法が現実的だと考えています。

先程ご紹介したポストでも「少し手を加えれば結構売れるのでは?」とありました。

AIと人間が相互補完的な役割をはたすのはどうか。

もちろん人間がつくった音楽に親しんできた私にとって、その方法論は正直寂しいなと感じます。

積極的に選択したい未来ではありません。

そうなってほしいとは思いませんが、それが一番賢い方法かもしれません。

全部をAIに依存するのではなく歌は自分で歌うなど、平和的に共存する方法もありえます。

個人的な感傷ですが、すべてをAIで完結する世界線は望みません。

最終防衛線として、部分的にでも人間がかかわってほしいと願っています。

 

AIが有利な点と急速な進歩

もし人間がAIを凌駕する画期的で個性的な音楽をつくったとします。

しかしAIはそれをも学習し、その革新性はすぐに過去に追いやられてしまいます。

先程ご紹介したジョニー・キャッシュの曲からもお分かりいただけるように、AIは人間らしさが重要な音楽も苦にしません。

ポストロックなど特徴がつかみにくいジャンルにも対応しています。

また人間は1曲つくるのに時間がかかります。

しかしAIはそれよりはるかに短い時間で生成されます。

無料プランもありますが、有料プランにしても低額で済みますし。

今はまだ耳の良い人は、AIがつくった曲に違和感を感じるかもしれません。

しかしAIの進歩はあまりに著しく、数年以内にはその違和感も感じなくなるでしょう。

問題はSuno AIがリリースされて3か月の段階で、この品質にあるということです。

 

AIが生成した音楽の可能性

AIを活用すれば、曲の量産が可能になります。

たとえばYOASOBIらしい曲を文章で指示し、1日で100曲ほど生成したとします。

その中にはリアルのYOASOBIに匹敵する品質の曲が含まれている可能性も。

ヒットする可能性の高い曲が1曲完成です。

それはずるいのではないかと思う人もいらっしゃるかもしれません。

しかしAIの曲であることをオープンにした上でリスナーから支持されれば、不正でも不公平でもありません。

それならば先手を打って、誰よりもAIを使いこなし協業した方がマシかもしれないのです。

その製作過程でどれほど曲の品質向上に貢献できるか、私はそこに人間の存在意義を見出したい思いです。

もちろん自分らしくパーソナルな音楽を表現したい方は、AIを使う必要はないと思いますが。

そういう方はこれまで以上に自分らしさを掘り下げるといいかもしれません。

この記事では主に商業的な音楽を想定しています。

 

AIを活用するメリット

零細の個人にとって、AIと協業することのメリットは他もあります。

先程AIのテレビCMをご覧になった方は、既にAIが生成する映像が実用レベルに達していると思ったのではないでしょうか。

音楽のみならず、ビジュアルを含めて表現の一単位全てをAIで完結できます。

現代は初音ミクのビジュアルを前面に出してボカロ曲を発表したり、表に出ないで歌だけで勝負するAdoのような人もいます。

現代はAIの音楽が受け入れられやすい時代なのもしれません。

AIを活用すればリソースがない個人でも、ビジュアルを含めたトータルの訴求がしやすくなり、個人の能力を拡張することができます。

また自分の才能を磨く上で、刺激を与える存在と考えてもいいかもしれません。

現在将棋界では藤井聡太が圧倒的な勝率で無双しています。

彼はAIとの対局を通じて、ネクストレベルへと進化しました。

音楽でも似たようなことが可能かもしれません。

 

人間の創造力とは

最初は私もAIは計算など知的客観的な分野で活躍すると思っていました。

しかし意外にもAIは芸術や創作などの分野を得意としているようです。

昔の私はしょせんAIがつくった音楽などと、高を括っていました。

人間的な温かみのある音楽は生み出せないだろうと。

しかしAIは今現在、その人間らしさの壁をいとも簡単に突破しつつあります。

次第に私はAIの音楽に感動してしまったらどうしようという危機感を抱くようになりました、

そして今ではもう、人間を超える可能性すら視野に入れなくてはいけないように感じています。

人間の叡智、想像力とは何だろう。

冒頭でご紹介したAIが生成した絵画のすばらしさを見るにつけ、私は考え込んでしまいます。

 
さて最後に過去にポストして好評だった曲をご紹介します。

YMCK – 輝きよわたしの手に

 
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