先日Xのあるポストに大きな反響がありました。
そこでこの記事では、そのポストの内容を掘り下げてみました。
合わせてそのポストに寄せられたご意見をご紹介したいと思います。
発端となったポスト
あるアーティストのCDを買う時、最初の一歩で大きな決断を迫られる
ベスト盤で済ますか、アルバム単位でそろえるか
アルバム数が多い場合は、つい躊躇し尻込みしてしまう
その決断の重さを回避して優柔不断になると、CD棚で代表作1枚とベスト盤1枚という煮え切らない組み合わせになります(苦笑)
私は思い付きで投稿したにすぎません。
しかし現時点でこのポストは2.7万インプレッションと、予想外に大きく拡散されています。
また多くのリプも寄せられました。
そこでこの記事ではその内容を深めてみることにしました。
記事の前半ではこのポストの内容をご説明し、後半はフォロワー様の印象に残ったご意見をご紹介したいと思います。
このポストの背景にある私の価値観について
もし私が音楽ジャンキーでなかったら、迷わずベスト盤を買うと思います。
上澄みをすくうだけで充分でしょうから。
しかし私は音楽沼に棲む住人。
そんな異形の私からすると、心のどこかでベスト盤を買うのは安易で逃げみたいな意識があります。
ベスト盤を買おうとする時、以下のような自己圧力を感じます。
「お前みたいな奴がベスト盤を買ってどうする、迷わずオリジナル・アルバムを買うべき」と。
一種の義務感、使命感みたいものかもしれません。
ただそのやせ我慢は、後にメインブログの記事を書く時に活きています。
私はメインブログで、シングルでもなくベスト盤にも入っていない隠れ名曲を取り上げています。
もし上のメインブログで私のドヤを感じた場合は、何卒ご容赦ください。
オリジナル・アルバムの数が多いと一大決心が必要
ベスト盤を買えば1枚で完結しますし、確実に楽だといえるでしょう。
更にオリジナル・アルバムでそろえる判断が取りにくい場合もあります。
上のポストでは以下のように表現しています。
「アルバム数が多い場合は、つい躊躇し尻込みしてしまう」
オリジナル・アルバムでコンプリートするのは、労力、時間、お金を費やします。
人間は誰しも大きな負担を背負いたくないと思いますが、私とてその例外ではありません。
それでも4枚程度ならば無問題です。
しかし30枚だったとしたらどうでしょうか。
ベスト盤を回避したら、オリジナル・アルバムを30枚買うことになります。
その時私はその覚悟はあるのかと自問自答します。
オリジナル・アルバムを選択する時の判断は、時にマゾヒスティックかもしれません。
優先順位が高くないアーティストをどうするか
ただ好きすぎるアーティストの場合は、その労力は全く苦になりません。
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)などの場合、義務感がないどころかむしろ前のめりになりますしドバドバとアドレナリンが分泌されます。
しかし優先順位が落ちるアーティストの場合は、その限りではありません。
私はマイナーでも良いアーティストやメジャーなアーティストは、とりあえずオリジナル・アルバムでそろえます。
しかし問題は、マイナーでもそこまでのめり込んでいない場合。
それならば買わなければいいというご意見はごもっともです。
しかし私の中にある音楽ジャンキーならではのこだわり、業みたいなものがそれを許しません。
そして実際オリジナル・アルバムを1枚買って、聞いて微妙だと感じたとします。
すると2枚目を買うのにためらうことも(苦笑)
そういう時には「ベスト盤を買って終わらせようぜ」という悪魔のささやきが聞こえてきます。
場当たり的で優柔不断になったケース
実際迷った末にどうするかは、ケース・バイ・ケースとしか言いようがありません。
時にはグダグダになり、場当たり的な判断になることもあります。
私の典型例でいえばこんな感じ。
あるアーティストのベスト盤をブックオフの250円コーナーで見つけたとします。
オリジナル・アルバムでそろえると決めているアーティストの場合、どんなに安くても私は買いません。
しかし態度を決めていないアーティストについては、とりあえず安いし買っておくかという安易な方向に流れがちです。
それが分かっているならば自制すればいいではというのは、とても合理的なご意見です。
しかし時に音楽ジャンキーは合理的ではない判断をすることが珍しくありません。
その結果として、先程のポストの以下の箇所のようになります。
「その決断の重さを回避して優柔不断になると、CD棚で代表作1枚とベスト盤1枚という煮え切らない組み合わせになります(苦笑)」
私の思い込みについて
あるフォロワー様のコメントに対するリプが、私の正直な気持ちを表しています。
一度ベスト盤に屈服しても、その後オリジナル・アルバムをコンプリートして、ドヤ顔でリベンジをはたす
もしくはベスト盤購入という屈辱にまみれながらも、しかしその凡庸さに安住し心の安寧を得る
私はそんな2つのストーリーを思い描いています
私はオリジナル・アルバムでそろえることを正義だと思いすぎているのかもしれません。
我ながら中二病的でお恥ずかしい限りですが、こういう意識は今も根強く私の中にあります。
あるフォロワー様から、友達におすすめのアルバムを尋ねてベスト盤を勧められるとモヤモヤするというコメントが寄せられました。
そのフォロワー様は「「個のアルバム」から向き合いたいケースが多いので」ベスト盤に違和感を感じるようです。
実は私もその感覚が理解できるどころか、大いに共感してしまいました。
ただその方も仰っていましたが、例外もあります。
良いベスト・アルバムもある
あるフォロワー様はビートルズ(The Beatles)の赤盤と青盤を例に、入門者に最適な例もあると仰っていました。
仰る通りです。
私も「ビリー・ザ・ベスト」、スライ&ザ・ファミリー・ストーン「アンソロジー」「ラモーンズマニア」など、選曲の良いベストを重宝しています。
選曲が良いベストはオリジナル・アルバム未収録曲がなくても、手元に置きたいほど。
私はよく記事の中で「このアーティストはベスト盤だけで済ますのはおすすめしません」みたいなことを書いています。
しかし中には、あえてベスト盤を推す場合もあります。
ただ一方で代表曲が収録されていないなど、問題のあるベストが存在するのも確か。
私はそういうベストについて、時々記事の中で注意喚起をしています。
ただそのアーティストについて理解が深まった後でしか、ベスト盤について適切な判断ができないのが悩ましいところです。
イギリス盤とアメリカ盤の問題
イギリス盤とアメリカ盤の問題に言及している方がいました。
確かにその問題はとても大きいと思います。
たとえば最初にアメリカ盤(US盤)を親しんだ後イギリス盤(UK盤)を聞くと、曲順や収録曲に違和感を感じることも。
たまたま買った最初の1枚が、そのアーティストの印象を左右することもあります
ちなみに私はイギリスのアーティストは、イギリス盤を基準に考えることが多いです。
たとえばメインブログのザ・クラッシュ(The Clash)の記事では、ファーストはイギリス盤に限ると書きました。
あと私はローリング・ストーンズの「ビトウィーン・ザ・バトンズ(Between the Buttons)」も、イギリス盤しか考えられません。
イギリス盤の「ビトウィーン・ザ・バトンズ」は、ストーンズ版ソフトロックといえる地味な名作でした。
しかしアメリカ盤にはヒット曲が2曲入っていて、その控え目な魅力が失われています。
少し寄り道になりましたが、重要な論点だと思いました。
両方買ったらいいというご意見
冒頭の私のポストにはフォロワーの方々から、興味深いご意見が多数寄せられました。
その中で特に気になったご意見をピックアップしてみます。
たとえばベストとオリジナル・アルバム、どちらも買えばいいというご意見がありました。
実は私はこのタイプです。
私はオリジナル・アルバムとベスト盤、両方を持っているケースが少なくありません。
ただ多くの場合私は同時に買わず、オリジナル・アルバムをそろえた後にベストを買っていますが。
そのアーティストについて理解を深めた上で、良いベスト盤を見極めて買っています。
一度あるベスト盤を買うと、違うベスト盤に買い替えるのはもったいないですし。
それならばそのアーティストについて理解を深めてから、最適なベストを買った方がいいと思っています。
最初にライブ盤を選ぶという意外と合理的な判断
今回興味深いと思ったのは、最初の1枚はライブ盤を買うという方が複数いらっしゃったことでした。
私にはその発想がありませんでした。
つい私はスタジオ盤でオリジナルを聞いてから、ライブ盤を聞いた方が良いと思ってしまいます。
ただこの説にも一理あると思いました。
ライブは演奏力を把握しやすいですし、ライブ盤がアタリならスタジオ盤もほぼアタリですが、その逆は確率が落ちるものです。
またオリジナル・アルバムをそろえた後に、ベスト盤を買うのは無駄という意識は常につきまといますし。
私はベスト盤にしか入っていない曲があればベスト盤もそろえますが、それでも大半の重複している曲がもったいないと感じることがあります。
しかしライブ盤の場合、そういうもったいない感はありません。
しかもライブ盤には代表曲も入っていますし、選曲面でもベスト盤に近い場合も少なくありませんし。
もしかしたら最初にライブ盤を買うのが、最も合理的なのかもしれません。
印象的なポスト
最も印象的だったリプをご紹介します。
中高生の頃は予算に限りがあるので失敗したくない。
よく知らないミュージシャンはベスト盤か最新アルバムから入りました。
気に入ってオリジナルアルバムをコンプリートしてもそれらを一気に聴くのは物理的に難しい。
ベスト盤は予習であると同時に復習という役割を果たしているような気がします。
特に慧眼だと思ったのは、以下の箇所。
「ベスト盤は予習であると同時に復習という役割を果たしている」
これは目から鱗でした。
つまり最初にベスト盤を買ったら予習、後で買ったら復習ということですね。
どちらにしても無駄にはなりません。
その言葉を受けて、私も少し意識を変えなければと思い始めました。
何でもいいからとりあえず買ってみること
他にはとりあえず最新作、代表作、好きな曲が入っているアルバムを買っているというリプもありました。
特に昔は情報がなかったため、編集盤などでも意識することなく買っていた方も。
おそらく私が最初に買ったビートルズのアルバムは「オールディーズ「A Collection Of Beatles Oldies)」という編集盤でした。
しかし小学生だった私は、編集盤と意識しないまま買って聞いていたと思います。
おそらく安かったとかそんな理由だと思います。
後年私はオリジナル・アルバムを全てそろえました。
しかしだからといって、最初の編集盤をもったいなかったとは思いません。
つまりベスト盤でも、編集盤でも、最新作でも、代表作でも、ライブ盤でも何でも良い。
どれもが「一期一会」ならぬ「一盤一会」で、貴重な出会いに違いありません。
私には駄作と言われていても、最初に出会ったせいか今でも大好きなアルバムがあります。
もし私が小利口に情報収集して買っていたら、こういう出会いはなかったかもしれません。
最後に過去に取り上げて好評だった曲をご紹介します。
そういえばこのバンドのようにオリジナル・アルバムがなく、ベスト盤とはいえない編集盤しかなくても良質なロック・バンドもありますね。
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